- エンジニアの評価基準は「能力・業績・態度」の3軸で決まる
- エンジニア評価制度にありがちな3つの課題
- 評価に不満を感じた場合の対処
- 【エンジニア必見】高評価な人は技術×行動×成果を意識している
- 評価されるエンジニアになるには「日々の行動の見える化」が重要
- まとめ
エンジニアの評価基準は「能力・業績・態度」の3軸で決まる
エンジニアの評価は、単なる技術力の有無だけでは決まりません。「能力」と「業績」と「態度」という3つの軸をもとに、日々の行動や成果が総合的に評価されています。
人事評価制度の基本的な考え方として、内閣人事局・人事院は「能力評価」と「業績評価」の2軸を掲げており、これは公務員に限らず、民間企業の評価制度設計にも応用されている評価フレームです。さらに、多くの民間企業では、「態度」面を評価に加えています。この枠組みに沿って整理することで、どのような行動や成果が評価されるべきなのかをより客観的に理解できます。
この章では、まずは内閣人事局・人事院の公的資料を参考に、エンジニア評価の基本的な3軸を明らかにし、「自分が何を評価されているのか」を正しく理解する第一歩を提供します。
能力評価では「スキル」「知識」「行動特性」が重要

内閣人事局・人事院の「人事評価マニュアル(P2)」によると、能力評価とは「職務を遂行するに当たり発揮した能力」を対象としており、行動事実に基づいて評価することが求められています。
エンジニアの業務で考えると、システム開発やWebサイト制作といったプロジェクトの目的を達成するための技術的スキルと知識、プロジェクトを進行するための主体性やチームでの協働意識と捉えられます。
例えば、設計力やテスト自動化といった技術的スキルの活用に加えて、チームでの情報共有、後輩への指導、障害発生時の冷静な対応なども能力評価の対象です。
能力評価は単なるスキルセットではなく、それをどのように実務で活かしているかという行動に基づくことが、公的評価制度の基本方針です。
業績評価では「成果」「達成度」「影響力」が重要
エンジニアの業績評価では、達成した成果に加えて、それが組織やプロダクトに与えた影響も評価されます。前述の「人事評価マニュアル(P2)」では、業績評価を「職務を遂行するに当たり挙げた業績の評価」と定義されています。これは、量的な達成度だけでなく、質的な影響や継続性も含みます。
例えば、リリース数やバグ削減率などの数値目標の達成に加え、運用コストの削減、技術負債(短期的な開発優先により将来的な保守性が損なわれた状態)の解消など、プロダクト全体に与えた良い影響も評価される対象になります。
業績評価は「成果を出したか」だけでなく、「その成果がどのように組織やユーザーに貢献したか」という点も重視されます。
態度評価では「業務への規律性・積極性」「チームメンバー以外との信頼構築と調整力」が重要
エンジニアの態度評価では、まず自らの担当領域について、業務を計画的に遂行し、納期を守るという規律性が求められます。
また、新しい領域や経験のない仕事に対しても、自発的に取り組む姿勢や学習意欲などの積極性が評価されるポイントです。
さらに、エンジニアはチーム内だけでなく、他チームや他部門とも連携してプロジェクトを推進することが求められます。チームメンバー以外とも円滑な連携を図り、専門的な知識を共有・調整しながらプロジェクトを推進できているかどうかが、態度評価において重要な要素となります。
エンジニア評価制度にありがちな3つの課題
エンジニアとして働くなかで「評価に納得がいかない」と感じたことがある方は少なくないでしょう。その背景には、エンジニア特有の評価の難しさや、制度運用上の課題が存在しています。
ここでは、エンジニアの評価が正当に行われにくい主な理由を3つに分けて解説します。
技術以外が評価されにくい企業文化の問題
エンジニアの評価では、技術力以外の能力や成果が正当に評価されにくく、これが納得感の欠如や不満の温床となっています。
例えば、前述の「人事評価マニュアル(P80③)」では、評価は「職務行動を通じて顕在化した能力および職務遂行結果」に基づくべきであると明記されています。つまり、技術力以外に日々の業務を通じた具体的な行動や貢献が評価対象とされるべきなのです。
しかしエンジニアの現場では、「チームとの連携」「ドキュメント整備」「継続的改善」などの行動は、定量化しにくいことを理由に見過ごされるケースが少なくありません。
改善策としては、技術以外の貢献も日報・週報・社内ツールなどに記録を残しておき、評価面談時にそれらをもとに具体的な行動として説明できるようにしておくことが効果的です。また、日々の行動を「誰のどんな課題に貢献したか」という観点で言語化する習慣を持つことで、自分でも見落としがちな ”価値ある行動” を可視化しやすくなります。
評価者間の認識や判断のブレ
評価の公平性を担保するには、評価者の意識を統一し「主観」でなく「事実」による判定を行う体制整備が不可欠です。
評価面談では、評価者ごとの技術理解度や価値観の差によって「技術力は高いが協調性が低い」「コミュニケーションは良好だが技術が浅い」など、評価内容にばらつきが生まれやすい状況がよくあります。
改善策としては、評価時の面談で自分が評価される項目を事前に言葉ですり合わせておくことや、自己評価とその根拠を添えることなどが挙げられます。
アウトプットが見えにくいエンジニアの業務特性
エンジニア業務は成果が長期的かつ定性的であるため、短期評価では「見えない努力」が評価されず、不公平な評価につながることがあります。
エンジニア業務のなかで、インフラ設計、バグ修正、コードレビュー支援、テスト環境整備などは、「障害を未然に防いだ」「開発効率を高めた」といった貢献が数値化されにくく、それらの実績が記録されていないことも少なくありません。
改善策として、GitHubなどのソースコード管理ツールに変更履歴を残すなど、自分の貢献が可視化される場所に積極的に記録を残す意識を持つことが重要です。また、1on1やレビューなどの機会に、自分が担った「裏方的なタスク」や「問題の未然防止」に関しても簡潔に振り返り、評価に値する行動として言語化する練習を日常的に行っておくと、面談時にスムーズに説明できるようになります。
評価に不満を感じた場合の対処
エンジニアとして評価に納得できないときは、まず評価者との対話や評価基準の見直しを通じて、自ら改善の一歩を踏み出すことが重要です。
実際に、目に見える技術成果よりもチーム貢献やドキュメント整備などに力を入れていた場合、それが評価項目に含まれていないために過小評価されるケースもあり得ます。
ここでは、そうした不満を解消したいと感じているエンジニアに向けて、具体的なアクションを3つのステップに分けて紹介します。
1. 評価者と評価項目をすり合わせる
まず、納得できる評価を得るためには、期首の段階で評価者と目標や評価項目をすり合わせることが重要です。
例えば、評価者が「チーム全体の生産性向上」を重視しているのに対し、被評価者が「個人タスクの遂行」に集中していた場合、評価にズレが生じます。しかし、期首の時点で「ドキュメント整備やナレッジ共有などのチームの生産性向上を加点対象とする」とすり合わせていれば、行動の方向性が一致し、正当な評価を得やすくなります。
まずは、評価者との期首面談時に、自分が目指すべき成果や期待行動を明文化・共有することが、公平な評価への第一歩です。
2. すり合わせができていない指標や項目を洗い出す
評価への違和感を感じたら、まずは自分が注力してきた内容と評価項目とのズレを明らかにすることが重要です。
内閣人事局「人事評価ガイド《評価者・調整者の手続編》(P1)」では、人事評価について以下のように定めています。
人事評価は、あくまで職務遂行における行動及び結果に基づき、能力や業績を評価するものであることを意識して、評価を行いましょう。
つまり、被評価者も自らの職務行動や成果を日頃から記録し、それが評価基準と整合しているかを確認しておくことが、適切な評価につながるといえます。
プロジェクトの進行管理やメンバーの教育に多くの時間を費やしたにもかかわらず、評価基準に「マネジメントや育成」が含まれていないと、その貢献は正しく評価されません。
「どの項目が評価されていて」「自分のどの成果が反映されていないのか」を言語化することが、次のステップ(改善の相談)への土台となります。
3. 改善方法を評価者と検討する
評価に不満がある場合は、我慢するのではなく、評価者と一緒に改善策を話し合う姿勢が必要です。
定量評価(売上・バグ数など)に偏りすぎていると感じた場合、「なぜレビュー活動やリーダーシップ行動が加点対象にならないのか」といった点を評価者と率直に議論することで、制度のアップデートにつながる可能性があります。
評価制度は会社のルールである一方、現場で働く人の声がなければ改善されません。建設的に話し合っても解決が難しい場合には、レバテックキャリアのようなエンジニア専門の転職エージェントに相談するのがいいでしょう。
【エンジニア必見】高評価な人は技術×行動×成果を意識している
エンジニアとして高評価を得るには、単に技術力を磨くだけでは不十分です。
ここでは、評価において重要視される「技術」「行動」「成果」の3つの観点から、具体的にどんな行動が評価されやすいのかを体系的に解説します。
コード品質、設計力、自動化で技術力を示す
高評価を得るには、開発において、単なる実装ではなく「可読性」「保守性」まで見据えた技術力が求められます。
内閣人事局・人事院の「人事評価マニュアル(令和元年9月)(P125)」の評語の解説をみると、一番高い評価では、求められる行動が確実にとられていたことに加えて、他のメンバーの模範となるなどの職務遂行状況であるとされています。
これを踏まえて、エンジニアとして評価を高めるためには、再利用性や品質、安全性を考慮した技術行動が考えられます。
例えば、コードレビューにおいて単にバグを指摘するのではなく設計改善の提案を行う、テスト実施時は可能な限り自動化して作業効率・信頼性向上を実現するなどです。
このように、継続的にプロセスを改善し、後続にも良い影響を与える姿勢を見せることが評価されるポイントの1つです。
チーム貢献、レビュー対応、報連相で行動力を示す
技術力以外でも、チームの成果や雰囲気を意識した行動が評価されるきっかけになります。
エンジニアの業務では、業務遂行能力を前提とした「組織やチーム貢献」「コミュニケーション」などが重要視されており、対話やチームを支える行動が職務上の行動として評価対象となります。
例えば、日々のレビューで気づきを伝え、プロダクト品質を担保する、障害時に率先して情報共有し、スケジュール変更時も影響範囲と必要工数・対応策を即座に共有するなどです。
プロジェクトのために自分が果たせる役割を見つけ、実行し続けましょう。
プロダクト貢献、納期遵守、改善提案で成果を見せる
成果はプロダクトや組織にどれだけポジティブな影響を与えたかで評価されます。
例えば、リリース件数や不具合削減率などのKPIを達成する、レガシーコードのリファクタリングでパフォーマンス改善や事故防止に寄与する、ユーザーフィードバックをCV(コンバージョン)改善に反映させるなどの取り組みは、ユーザー満足度向上につながる重要な成果です。
また、納期を遵守し、プロジェクト全体を安定的に進行させる能力も評価ポイントです。納期を守るという一見当たり前の行動も、タスクの見積もり力や進捗管理力、リスク対応力など複数のスキルが背景にある複合的な成果と捉えられます。
プロダクトやチームの改善に貢献する行動は、直接的な数値に表れなくても、評価において大きなアピールポイントになります。自分の仕事がどう価値を生み出したかを言語化し、主張できるようにしておきましょう。
評価面談ではエピソード+数値でアピールする
評価面談では、感情ではなく「事実」に基づいたエピソードと数値で自己表現すべきです。
具体的には「〇〇件のコードレビューを行い、品質課題を20%減少させました」「納期遅延がゼロになり、リリーススケジュールを前倒しにしました」などです。
面談は、自分の行動と成果を価値として他者に伝える場です。事実と数字を伝えられる人材ということを、評価者に強く印象づけられるでしょう。
評価されるエンジニアになるには「日々の行動の見える化」が重要
エンジニアとして適切に評価されるには、日々の貢献を記録しておくことが不可欠です。
どれほどチームに貢献していても、社内で使用しているチャットツールでの発言やソースコード管理ツールの活動が記録として残っていなければ、面談時に正しく伝えることはできません。
ここでは、エンジニアが自身の努力を評価につなげるために有効な、見える化の方法について解説します。
GitHub、Slack、日報で貢献の証拠を残す
日々の業務記録を残すことで、評価面談時に「事実」として提示できる証拠を集められます。
ソースコード管理ツールの変更履歴、チャットツールでの提案・共有、ドキュメントや議事録の整備などは、「技術・行動・成果」の事実として評価面談で活用できます。
技術外で評価されやすい行動を習慣化する
技術以外の行動、つまり組織内外への貢献を日常的に行い、評価に結びつく姿勢を習慣化しましょう。
具体的には、毎週のチーム会で開発プロセスの改善策を提案する、新人への技術説明やドキュメント整備を行うなどです。
こうした目に見えにくい行動こそが、能力評価や情意評価につながります。
社外活動、情報発信も評価対象になり得る
社外での技術勉強会や執筆、オープンソースソフトウェアの開発・保守への貢献は、自身の成長と会社への価値貢献をアピールする上で強力な材料になります。
例えば、技術カンファレンスでプレゼンテーションを実施する、社外勉強会の講師を務める、ブログ記事での技術解説やOSSへのコード提供を行うなどです。
これらは数値化こそ難しいものの、業績・能力ともにプラス評価につながる行動です。可能な限り自己表現に活用しましょう。
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まとめ
エンジニアの評価は「能力」「業績」「態度」の3軸で構成されており、単なる技術力だけでなく、日々の行動やチームへの貢献、成果の伝え方までもが重要な要素となります。
評価制度に不満がある場合も、まずは評価項目を正しく理解し、自身の努力や成果を「見える化」して伝える工夫をすることで、納得度の高い評価につながる可能性があります。とはいえ、評価制度そのものが自分に合っていないと感じるケースもあるでしょう。
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