- 法的措置なくSESの案件を断ることは可能
- SESの案件を断る際のリスクと注意点
- SESの案件を辞退する場合の適切な断り方
- SESの希望案件を獲得するためのポイント
- SESの案件に関するよくある質問
- まとめ
法的措置なくSESの案件を断ることは可能
SESの案件を断ることは法的に可能です。SES案件を断ってはいけないという法律は存在しません。
ただし、実際には個人のスキルによって案件を断れるかどうかに影響する場合があります。たとえば、高度なスキルや専門的な経験を持つ人材は市場での需要が高いため、案件を断っても次の案件が見つかりやすい傾向にあります。
一方で、スキルや経験が少ない場合、むやみに案件を断ってしまうと、次に紹介される案件が少なくなる可能性があるので注意が必要です。
案件を断る際は、会社との良好な関係維持や今後のキャリア形成への影響を慎重に検討することが重要です。
また、案件に参画してから「この案件から抜けたい」と思ってしまうこともあるでしょう。
以下の記事では、契約後に案件を抜けるタイミングについて紹介しています。気になる人はぜひ参考にしてください。
関連記事：SESの案件を抜けたい時の対処法！穏便なのは更新タイミングでの離脱？
SESの案件を断る際のリスクと注意点
SESの案件を断る際には、いくつかのリスクと注意点があります。主なポイントは以下のとおりです。
以下で詳細について解説していきます。
案件の紹介優先度が下がる可能性がある
案件を断ることで、以降の案件紹介において自身の優先度が下がる可能性があります。これは、SES企業の営業担当者が、意欲があり円滑に案件参画できるエンジニアを重視する傾向にあるためです。
たとえば、過去に案件を断った経験があるエンジニアより、案件に対して前向きな姿勢を示すエンジニアが優先されることがあります。その結果、新規案件の打診が遅くなるなどの影響が生じる場合があります。
このような状況を防ぐには、案件を断る際に明確な理由を説明し、今後の希望条件を具体的に伝えることが重要です。「やりたくない」といった曖昧な理由ではなく、「Pythonのスキルを活かしたい」「在宅勤務が可能な案件を希望する」など、建設的な意見を示すことで、営業担当者との信頼関係を維持できます。
待機期間中の給与が下がる可能性がある
SESの案件を断ったことで待機期間が発生した場合、給与が減る可能性があります。SES企業では、待機期間中の給与体系について決められているからです。
待機期間中でも自社に出社して社内業務を行う場合、給与は100％支給され収入が減少することはありません。
しかし、自宅待機となった場合には、「勤務扱い」と「休業扱い」のどちらに該当するかで支給額が異なるのです。自宅待機で勤務扱いの場合には100％給与が支給されますが、休業扱いに該当すると労働基準法第26条に基づき、平均賃金の60％以上が支払われます。
つまり、自宅待機で休業扱いになった場合、給与が下がる可能性があるのです。
このため、待機期間中の給与については、事前に会社の就業規則や雇用契約書で確認しておくことが重要です。不明な点があれば、人事担当者に直接確認することをおすすめします。
業務経験のチャンスを逃す可能性がある
案件を断ることで、SESならではの多様な現場経験を積む機会を逃してしまう可能性があります。SESで働く魅力は、多様な業界や技術に触れられることです。しかし、条件にこだわり過ぎることで、貴重な成長機会を失うことにもなりかねません。
たとえば、希望する技術スタックと異なる案件でも、新しい業界知識の習得やコミュニケーション能力の向上につながることがあります。特に経験の浅いエンジニアにとっては、多様な現場経験を通じて、自身の適性や興味を発見できる可能性があります。
ただし、自身のキャリアプランと明らかに方向性が異なる案件や、スキル向上が期待できない案件については断る判断も必要です。短期的な不満だけでなく、長期的なキャリア形成の観点から判断することが重要になります。
以下の記事では、おすすめの現場の条件を紹介しています。気になる人はぜひ参考にしてください。
関連記事：SESエンジニアが合わない現場を変えたい時の手順や案件を抜ける方法
SESの案件を辞退する場合の適切な断り方
SESの案件を断る際のポイントは、以下のとおりです。
-
丁寧に伝える
可能な限り早めに伝える
具体的な理由を伝える
SES案件を断る際に言葉選びを間違えると、相手に不快な印象を与えてしまい、後の案件紹介や関係性に影響が出る可能性があります。
まずは「貴重な機会をいただきありがとうございます」と感謝の意を示すことから始めましょう。その上で「申し訳ございませんが」と丁寧に断りの言葉を添えることで、相手への配慮を示すことができます。
また、調整の手間やトラブルのリスクを防ぐため、断ることを決めたらすぐに辞退の意思を伝えることをおすすめします。
辞退する理由を伝える際は、スキルの不一致や通勤距離など、客観的な事実に基づいて説明することが重要です。感情的な理由ではなく、論理的で納得しやすい理由を提示することで、営業担当者との良好な関係を保つことができます。
SESの希望案件を獲得するためのポイント
SESで希望に合った案件を獲得するには、ミスマッチによる案件辞退のリスクを減らし、キャリアプランに合った案件に参画できる可能性を高めることが重要です。
そのためには、スキルアップできる環境を重視することが大切です。長期的なキャリア形成につながる案件に参画できる可能性が高まるためです。新しい技術や手法を学べる案件を積極的に選ぶことで、市場価値の向上にもつながります。
また、参画案件を自分で選べるSES企業に転職する方法もあります。このような企業では、エンジニアの希望を尊重し、スキルに合った案件を紹介してくれる傾向があるためです。面接時には、案件選択の自由度について確認することをおすすめします。
希望案件獲得のポイントについての詳細は、「SESの案件ガチャって何？ハズレ案件の特徴や回避方法も解説」で紹介しています。
転職活動を自分で進めるのが難しい場合は、レバテックキャリアなどの転職エージェントを活用するのもおすすめです。
SESの案件に関するよくある質問
ここでは、SES案件に関するよくある質問に回答します。
類似の疑問を持つ人は参考にしてみてください。
Q1. SESの案件が決まらないとクビになりますか?
待機状態の長さだけを理由に解雇されることはありません。労働契約法第16条では、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない解雇は無効と定められています。
ただし、エンジニアが正当な理由なく案件を拒否し続ける場合や、明らかなスキル不足により業務遂行が困難な場合は、状況が異なることがあります。
Q2. ブラックなSES企業を見抜くポイントはありますか?
待機期間中の給与について明確でない企業や案件の詳細を事前に教えてくれない企業などが挙げられます。面接時には、待機期間中の給与や具体的な案件例、キャリアパス、教育制度について質問することが重要です。
ブラックなSES企業を見抜くポイントについては、以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
関連記事：SESがブラックといわれる理由を解説！やばい企業の特徴も紹介
まとめ
本記事では、SES案件を断る際の注意点について解説しました。
SES案件を断ることは法的には問題ありませんが、社内評価や今後の案件紹介に影響を及ぼす可能性があります。具体的なリスクとしては、案件紹介の優先順位の低下や待機期間中の給与の減少、業務経験機会の損失などが考えられます。
案件を辞退する際は、具体的な理由を添えて、早めに丁寧な説明を行うことが重要です。希望案件を獲得するポイントは、スキルアップできる環境の重視や、案件選択の自由度が高いSES企業への転職などが挙げられます。
望ましくない労働環境を避けるため、事前の情報収集と慎重な企業選びが必要となります。
この記事を参考にSES案件を断る際の注意点を理解し、自身のキャリアプランに合った案件選択や企業選びを行ってみてください。
※本記事は2025年8月時点の情報を基に執筆しております
