- 「フルスタックエンジニア」とは
- フルスタックエンジニアが実際には需要が高い理由
- フルスタックエンジニアが「いらない」「笑」と言われている理由
- 活躍できるフルスタックエンジニアになる方法
- フルスタックエンジニアに関するよくある質問
- まとめ
「フルスタックエンジニア」とは
フルスタックエンジニアは、2010年代半ばからWeb開発業界でよく使われるようになった言葉です。フロントエンドとサーバーサイドの両方の開発ができ、それぞれの言語を少なくとも1つ以上扱える技術者を指します。
しかし、「フル」という表現が「すべてができる」という非現実的なイメージを与えるようになり、現在では「フルスタック」という言葉があまり使われなくなってきました。代わりに、より一般的な「ソフトウェアエンジニア」という表現に置き換えられつつあります。
フルスタックエンジニアが実際には需要が高い理由
フルスタックエンジニアは、実際には高い需要があります。ただし、その需要の高さには条件があり、「さまざまな技術の専門性が高いフルスタックエンジニア」であることが前提です。一方で、いろいろな経験や技術が中途半端なフルスタックエンジニアの場合、需要は高くならないと考えられます。
フルスタックエンジニアの需要が高い理由として、以下の4つが挙げられます。
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
少人数チームで重宝される
フルスタックエンジニアは、1人で複数の役割をこなせることから、少人数チームで特に重宝されます。たとえば、スタートアップ企業やベンチャー企業では、限られた人数で開発を進める必要があるため、フロントエンドからバックエンドまで対応できる人材が求められます。
また、人手不足の現場では即戦力として活躍できる点も魅力です。フルスタックエンジニアは、開発プロジェクトの進行状況や人員配置に応じて、柔軟に役割を担うことができます。これは、企業にとってコスト削減にもつながるため、採用時の重要なポイントとなり得ます。
分野を超えて活躍できる
フルスタックエンジニアの強みは、フロントエンドとバックエンドの両方の技術を理解しているため、開発をスムーズに進められる点です。両方の知識があることで、開発における問題点を早期に見つけ出し、効率的な解決策を提案できます。
たとえば、異なる領域にまたがる調整や対応も可能です。フロントエンドチームとバックエンドチームの間で認識のずれや仕様の食い違いが発生した際、両方の視点から状況を把握し、適切な調整を行うことができます。
また、指示待ちにならずに主体的に動ける点も評価されます。上流から下流まで見渡せる視点を持っているため、プロジェクト全体の進行状況を把握しながら、次に必要な作業を予測して行動に移せるためです。
多様なキャリアパスへの期待
フルスタックエンジニアは、開発以外にもテックリードやアーキテクトなどへのキャリアパスが期待できる存在です。広範な技術知識と実務経験を、チームマネジメントやシステム設計に活かせる可能性があります。企業にとって、フルスタックエンジニアの獲得と育成は、技術的なリーダーシップを担う人材の確保に繋がります。
さらに、多様な開発環境で培われた柔軟性は、企業が抱えるさまざまな技術的課題の解決に貢献できる点もメリットです。複数の技術領域に精通している人材は、即戦力になるとともに、組織内での配置に適応でき、企業は対応力のあるチームを作ることができます。
転職を検討している方は、以下の求人情報も参考にしてください。
フルスタックエンジニアの求人・転職情報>
フルスタックエンジニアが「いらない」「笑」と言われている理由
フルスタックエンジニアに対する否定的な意見は、主に幅広い知識を持つものの、各領域の専門性が低いレベルにとどまるエンジニアに向けられる傾向があります。具体的には、以下のような理由からその価値が疑問視されることがあります。
これらの問題点について、詳しく見ていきましょう。
「器用貧乏」で専門性が低い
フルスタックエンジニアは幅広い知識を持つ反面、各分野の専門性が高くないと認識され、「中途半端」な印象を持たれることがあります。たとえば、フロントエンド、バックエンド、インフラなど複数の領域の基礎は理解しているものの、それぞれの分野で高い専門性を有するエンジニアには及ばない可能性があるためです。このような状況下では、特定の分野に特化したエンジニアの方が重視されることがあります。
また、フルスタックエンジニアは、職務経歴書で自身の経験やスキルを説明する際に、印象がぼやけてしまいやすい傾向があります。さまざまな技術や役割を経験していることで、かえって「この人は何が得意なのか」という疑問を採用担当者に抱かせる可能性があるためです。
このように、フルスタックエンジニアは自身の強みや専門性を効果的にアピールすることが難しく、強みのわかりにくさが採用時に懸念される可能性があります。
分業が進んでいる(大規模な)プロジェクトでは不要なケースがある
現代の開発現場では、プロジェクトの規模が大きくなるにつれて、役割の専門化が進んでいます。たとえば、フロントエンド開発チーム、バックエンド開発チーム、インフラチームなど、それぞれの専門家が集まって開発を進めるケースが増えているようです。それぞれの分野で深い専門性がない場合、高度な課題解決や技術的な判断が必要な場面で力を発揮できないことがあります。
このように特定の分野のスペシャリストと比較されると、フルスタックエンジニアは技術力の面で見劣りしてしまう可能性があります。これは、チーム内での存在価値や貢献度の評価にも影響を与え、結果として「いらない」という評価に繋がる場合もあるようです。
採用単価が高くなりがち
フルスタックエンジニアは、複数の技術スタックを持つことから、一般的なエンジニアに比べ給与や単価が高くなる傾向があります。しかし、実際の業務で求められる専門性や成果と、給与水準が見合わないと判断されるケースも少なくありません。
特に、予算が限られているプロジェクトでは、フルスタックエンジニア1人を採用するよりも、必要な分野のスペシャリストを選択的に採用する方が、コスト効率が良いと判断されることがあります。また、フルスタックエンジニアの市場価値は経験や実績に大きく依存するため、適正な評価と報酬の設定が難しいという点も課題です。
活躍できるフルスタックエンジニアになる方法
活躍できるフルスタックエンジニアになるためには、計画的なスキルアップと実践経験の積み重ねが重要です。以下の4つのポイントを意識して、キャリアを構築していくことをおすすめします。
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
まずは得意分野を作る
フルスタックエンジニアとして活躍するためには、ベースとなる技術領域を明確にすることが重要です。たとえば、フロントエンド開発やバックエンド開発、インフラ構築など、特定の分野で高い専門性を持つことで、チーム内での存在価値を高めることができます。
専門性があることで信頼を得やすくなることも、得意分野を持つことのメリットです。
業務で使用する技術の知識をつける
実務で求められるスキルを正確に把握し、それらを着実に習得していくことが重要です。たとえば、所属する企業やプロジェクトで使用されている開発言語、フレームワーク、ツールなどについて、実践的な知識を身につけることで、即戦力として活躍できます。
座学だけでなく、実際に手を動かして技術を習得することも必要です。技術書やオンライン講座で基礎知識を学びながら、個人開発やハンズオン形式の学習を通じて、実践的なスキルを磨いていく方法がおすすめです。また、業務外でも積極的に新しい技術に触れる機会を作ることで、より幅広い知識を獲得できます。
第一線で働くフルスタックエンジニアをメンターにする
ロールモデルとなる存在を見つけることは、キャリア形成において重要です。たとえば、社内外で活躍しているフルスタックエンジニアに相談したり、その人のキャリアパスを参考にしたりすることで、自身の成長の道筋を明確にできます。
実践的なアドバイスや学びを得られることも、メンターを持つことの大きなメリットです。技術的な課題への対処方法や、キャリアにおける意思決定の考え方など、経験豊富なエンジニアから直接学ぶことで、より効率的にスキルアップを図ることができます。
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得意分野から知識を広げる
既存の知識を応用して新たなスキルを獲得することは、フルスタックエンジニアとして成長する上で効果的な方法です。たとえば、フロントエンド開発が得意な場合、そこからバックエンドの知識を学び、APIの設計や実装にも携われるようになり、より包括的な開発スキルを身につけられます。
変化の速い技術に対応できる力を持つことも重要です。新しい技術やツールが次々と登場するIT業界では、常に学習を続ける姿勢が求められます。興味のある分野から積極的に知識を広げていくことで、環境の変化に柔軟に対応できる技術者として成長できます。
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フルスタックエンジニアに関するよくある質問
フルスタックエンジニアについて、多くの方から寄せられる質問に回答します。これから目指す方や、現在悩んでいる方の参考になる情報をQ&A形式でまとめました。
類似の疑問を持つ方は参考にしてみてください。
Q1. フルスタックエンジニアのメリットはありますか?
フルスタックエンジニアの主なメリットは、幅広い案件に対応できる柔軟性です。フロントエンド開発からバックエンド開発まで、プロジェクトの状況に応じて柔軟に対応できるため、小規模プロジェクトでは全体を把握する貴重な存在となります。また、開発者以外にもプロジェクトマネージャー(PM)やテックリードなどキャリアの選択肢が広がります。
Q2. フルスタックエンジニアのデメリットはありますか?
フルスタックエンジニアのデメリットは、専門性が低く見られがちな点です。特定分野のスペシャリストと比較され評価が低くなる可能性や、採用時に強みが伝わりにくいことも考えられます。また、複数の技術領域のキャッチアップに多大な時間と労力がかかることも課題です。
Q3. フルスタックエンジニアに向いてる人の特徴は何ですか?
フルスタックエンジニアには、好奇心が強く、継続的に学べる人が向いています。技術進化への適応力も重要です。また、チーム全体を俯瞰し課題解決できる視野の広さや、専門にこだわらず柔軟に対応できる力も求められます。プロジェクト状況に応じ多様な役割を担うため、固定観念にとらわれない思考が重要です。
Q4. 未経験からフルスタックエンジニアになるのは無理ですか?
未経験からでも段階的なスキル習得でフルスタックエンジニアを目指せます。まず得意分野の基礎を学び、実務経験を積みながら徐々に知識を広げていく方法が有効です。ただし、高い学習意欲と継続的な努力は不可欠になります。基礎から応用まで体系的に学び、個人開発やオープンソースソフトウェアへの貢献などで実践力を磨くことが重要です。
まとめ
フルスタックエンジニアは、フロントエンドとサーバーサイドの両方の開発ができる技術者を指します。専門性の高いフルスタックエンジニアは需要が高い一方で、中途半端なスキルでは評価されにくい傾向があります。
活躍できるフルスタックエンジニアになるためには、まず特定分野での専門性を築いてから、段階的にスキルの幅を広げていくことが重要です。継続的な学習意欲と実践経験の積み重ねが、需要のある人材となるための鍵となります。
※本記事は2025年4月時点の情報を基に執筆しております