- ユーザー系SIerがやめとけといわれる3つの理由
- ユーザー系SIerに向いている人の特徴
- ユーザー系SIerはやめておいたほうが良い人の特徴
- ユーザー系SIerの強みは?4つのメリット
- ユーザー系SIerが合わないと感じる方におすすめのキャリア
- まとめ
ユーザー系SIerがやめとけといわれる3つの理由
ユーザー系SIerへの就職や転職を検討している人に向けて、「やめとけ」といわれる理由を3つ紹介します。
これらの理由について詳しく解説するので、参考にしてください。
下流工程のスキルが身につきにくいから
ユーザー系SIerがやめとけといわれる理由として、下流工程のスキルが身につきにくいことが挙げられます。これは、多くのユーザー系SIerが上流工程を中心に担当し、下流工程は協力会社に任せる体制を取っているためです。
一般的には以下のように開発工程を分担します。
ユーザー系SIerが主に 担当する工程 |
協力会社が主に 担当する工程 |
---|---|
・要件定義 ・基本設計 ・プロジェクト管理 |
・詳細設計 ・プログラミング ・テスト |
このような分業制により、プログラミングやテストなどの実装スキルを習得する機会が限られてしまいます。その結果、システム開発の全体像を把握しにくく、技術力の向上も遅くなりがちです。
スキルアップの面で物足りなさを感じる可能性があることから、ユーザー系SIerは「やめとけ」といわれています。
関連記事:仕事がきつい?ユーザー系SIerの特徴を解説!転職のポイントも解説
管理職以上への昇格が難しい場合があるから
管理職以上への昇格が難しい可能性があることも、ユーザー系SIerがやめとけといわれる理由の1つです。これは、管理職ポストの多くが親会社からの出向者で占められているためです。また、ユーザー系SIerの中には、年功序列の企業文化が根強く残っている企業も少なくありません。
このような環境では、能力や実績を上げても、期待どおりのキャリアアップが実現できない可能性があり、「やめとけ」という意見が挙がる要因となっています。
キャリアの選択肢が狭まる可能性があるから
ユーザー系SIerでは、キャリアの選択肢が限定される可能性があるため、「やめとけ」といわれることがあります。これは、主に親会社の業務システムの開発に特化した仕事が中心となるためです。
たとえば、金融系のユーザー系SIerで働いている場合、金融システムの知識は深まりますが、他業界のシステム開発経験を得る機会は限られます。また、親会社の方針や予算に従って技術選定が行われるため、最新技術にチャレンジする機会も少なくなりがちです。
このような状況から、将来的に幅広い分野で活躍したい人や、新しい技術に挑戦したい人には、キャリアの選択肢を広げにくい環境であることが多いです。そのため、ユーザー系SIerは「やめとけ」といわれることがあります。
ユーザー系SIerに向いている人の特徴
ユーザー系SIerに向いている人の特徴を紹介します。以下の3つの特徴を持つ人は、ユーザー系SIerで活躍できる可能性が高いです。
それぞれの特徴について詳しく解説するので、参考にしてください。
安定した環境で力を発揮したい人
安定した環境で着実に仕事を進めたい人には、ユーザー系SIerが向いています。ユーザー系SIerは、親会社の業務システムの開発が主な仕事となるため、業務環境の変化が比較的少ない職場といえます。
ユーザーSIerが安定した環境となる要素としては以下のとおりです。
-
・自社内での勤務が多い
・決められた業務プロセスに従って仕事を進めることが多い
・親会社が顧客であるため突発的な仕様変更が少ない
・福利厚生が充実している企業が多い
このように、ユーザー系SIerでは、一定の環境が整っているケースが多いです。そのため、安定した基盤の上で着実に業務経験を積みたい人にとっては、ユーザー系SIerが向いているといえます。
詳細なドキュメント作成が得意な人
詳細なドキュメント作成が得意な人は、ユーザー系SIerでは活躍しやすいです。ユーザー系SIerでは、システムの要件定義書や設計書など、詳細なドキュメント作成が重要な業務です。
要件定義書などのドキュメントは、ITに詳しくない親会社の担当者や、実装を担当する協力会社のエンジニアなど、さまざまな立場の人が読むことになります。そのため、誰が読んでも理解できるような、明確で詳細な文書が作成できる人はユーザー系SIerに向いています。
コミュニケーション能力が高い人
コミュニケーション能力が高い人はユーザー系SIerに向いています。コミュニケーション能力は独立系SIerなどでも必要ですが、特にユーザー系SIerでは、さまざまな立場の人とのコミュニケーションが必要不可欠です。親会社、協力会社、社内の関係部署など、多くの関係者と円滑なコミュニケーションを取れる人材が求められています。
たとえば、親会社から「システムの応答が遅い」という漠然とした苦情を受けた際には、どの機能でどの程度の遅延が発生しているのか具体的にヒアリングする必要があります。また、その原因や対策について、技術的な専門用語を使わずに説明することも必要です。
このように、技術力だけでなく、対人コミュニケーション能力が高い人のほうが、ユーザー系SIerでは活躍しやすい傾向にあります。
ユーザー系SIerはやめておいたほうが良い人の特徴
ユーザー系SIerは、特定の志向や目標を持つ人にとっては、キャリアの選択として適していない可能性があります。ユーザー系SIerを志望するのはやめておいたほうが良い人の特徴は、以下の3つです。
それぞれの特徴について、詳しく解説していきます。
コードを書くことに強い情熱を持っている人
プログラミングに情熱を持ち、実際にコードを書く時間を多く確保したい人には、ユーザー系SIerは向いていない可能性があります。これは、業務の多くが上流工程やマネジメントに集中しているためです。
たとえば、設計に基づいて協力会社に指示を出すことが主な業務となり、実際に手を動かしてコードを書くことは少ない、といった状況になりがちです。
そのため、プログラミングスキルを磨きたい人や、開発の実務経験を積みたい人には、ユーザー系SIerは適していないと考えられます。
技術的な挑戦を楽しみたい人
新しい技術や開発手法にチャレンジしたい人には、ユーザー系SIerは向いていない可能性が高いです。親会社のシステムを扱うという性質上、安定性や保守性が重視され、革新的な技術の導入には慎重にならざるを得ないためです。
たとえば、話題のプログラミング言語を採用したくても、親会社の方針や既存の古いシステムとの整合性から、従来の技術スタックを使うことが求められる場合があります。
常に最新技術に触れていたい、技術的なチャレンジを楽しみたいという人には、ユーザー系SIerは不向きといえるでしょう。
高収入を目指す人
収入アップを目指す人には、ユーザー系SIerは適していない可能性があります。これには、いくつかの理由があります。
ユーザー系SIerの業務は親会社向けのものが主であるため、ユーザー系SIerでスケジュール調整がしやすいことが多いです。そのため、残業時間は比較的少なく、残業代による収入増加は期待しにくいです。
また、管理職ポストの多くが親会社からの出向者で占められていることが多いため、役職手当での収入アップはあまり期待できません。
そのため、高収入を追求する人にとって、ユーザー系SIerは適していない可能性があります。
収入アップを目指すには、転職も1つの選択肢です。たとえば、IT業界では「年収バグ」と呼ばれる、転職によって大幅な年収アップを実現できる現象があります。
IT特化型の転職エージェントであるレバテックキャリアでは、年収などの希望条件のヒアリングやスキルの棚卸しなど、転職成功に向けたサポートが充実しています。キャリアや年収に関する相談だけでも構わないので、まずはお気軽にご相談ください。
関連記事:レバテックキャリアは相談だけでも利用できる!キャリア相談会など働き方をサポート
ユーザー系SIerの強みは?4つのメリット
ユーザー系SIerには、ほかの企業形態にはない独自の強みがあります。主なメリットとして、以下の4つが挙げられます。
これらのメリットについて詳しく解説するので、参考にしてください。
仕事が安定している
ユーザー系SIerの強みは、仕事の安定性です。親会社からの継続的な案件を中心に事業を展開しているため、業務の見通しが立てやすく、雇用も安定しています。
仕事が安定している理由として、以下が挙げられます。
-
・親会社からの定期的な案件がある
・システムの保守運用業務が継続的に発生する
・長期的なプロジェクトが多い
・突発的な仕様変更が少ない
たとえば、親会社の基幹システムの運用保守や、定期的なシステム更新プロジェクトなど、計画的に進められる案件が中心となります。そのため、突然の案件打ち切りや、急な業務縮小などのリスクが比較的少ないです。
ただし、親会社の業績が悪くなると、連鎖的に影響を受けるリスクがあります。安定を過信せず、個人の市場価値を高める努力が重要です。
上流工程がメインであることが多い
システム開発の上流工程を中心に担当することが多いことは、ユーザー系SIerのメリットの1つです。上流工程に携わることで、ビジネス視点でのシステム開発スキルを習得できます。
担当する主な上流工程は、以下のとおりです。
-
・要件定義
・基本設計
・プロジェクト管理
・ベンダーマネジメント
これらの経験は、将来的にITアーキテクトやプロジェクトマネージャーとしてのキャリアを目指す上で、貴重なものとなります。また、親会社の業務知識も深く習得できるため、業界特化型のコンサルタントとしての道も開けます。
このように、上流工程の業務がメインとなることがユーザー系SIerで働くメリットです。
福利厚生が充実している
ユーザー系SIerの多くは、親会社に準じた福利厚生制度を採用しています。これは、エンジニアの長期的なキャリア形成を考える上で重要なメリットとなっています。
特に、大手企業グループのユーザー系SIerでは、保養所やスポーツ施設などの福利厚生施設を、親会社と同じ条件で利用できることが多いです。また、育児・介護休暇などの制度も整備されており、ワークライフバランスを重視した働き方が可能なことも多いです。
このように、親会社に準じた充実した福利厚生制度を利用できることは、ユーザー系SIerのメリットといえます。
社会的信用性が高い
ユーザー系SIerは、親会社のブランド力の影響で、社会的信用が高い場合が多いです。社会的信用性の高さは、個人の生活面でもさまざまなメリットをもたらします。
社会的信用性がもたらすメリットの例としては、以下のようなものが挙げられます。
-
・取引先からの信頼が得やすい
・転職時の評価にプラスになることがある
・住宅ローンの審査が通りやすい
・クレジットカードの限度額が設定されやすい
・賃貸契約時の審査が有利になる
「〇〇商事システムズ」のように親会社の名前を冠している場合、その知名度と信用力により、金融機関での各種審査や契約時に有利な立場となることが多いです。
このように、ユーザー系SIerは親会社のブランド力を背景に、社会的な信頼性が高いことがメリットです。
関連記事:ユーザー系SIerはホワイト企業?メリット・デメリットを解説
ユーザー系SIerが合わないと感じる方におすすめのキャリア
ユーザー系SIerが自分に合わないと感じた人におすすめのキャリアを紹介します。個々の志向や目標に合った環境を選択することで、よりやりがいを感じやすくなります。
以下では、ユーザー系SIerをやめておいたほうが良い人の特徴ごとに、おすすめのキャリアをまとめました。
特徴 | おすすめの キャリア |
---|---|
コードを書くことに 強い情熱を持っている人 |
自社開発企業、 Web系エンジニア |
技術的な挑戦を 楽しみたい人 |
独立系SIer、 外資系SIer |
高収入を目指す人 | コンサル系SIer |
自社開発企業やWeb系エンジニアでは、開発フェーズで活躍できるポジションがあることが多いです。特にWeb系エンジニアは、業務において設計書が重要視されていない場合が多く、実作業に注力しやすいという特徴があります。そのため、コーディング作業に意欲的な人に向いています。
また、独立系・外資系SIerでは、他業界への関わりが多く、最新の技術にも触れる機会が多いため、技術的な挑戦を求める人におすすめです。
コンサル系SIerはIT業界の職種の中でも高収入を得やすい傾向があるため、高収入を実現したい人に適しています。
これらの情報を、自分に合ったキャリアを検討するための参考にしてください。
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まとめ
この記事では、ユーザー系SIerがやめとけといわれる理由や向いている人、向いていない人の特徴、メリット、代替となるキャリアについて解説しました。
ユーザー系SIerがやめとけといわれる主な理由は、下流工程のスキルが身につきにくいことや管理職以上の昇格が難しいこと、キャリアが狭まる可能性があることです。
ユーザー系SIerは、安定した環境で力を発揮したい人や詳細なドキュメント作成が得意な人、コミュニケーション能力が高い人には向いている職場といえます。一方で、手を動かしてコードを書くことに強い情熱を持っている人、技術的な挑戦を楽しみたい人、高収入を目指す人には向いていない可能性があるため注意が必要です。
ユーザー系SIerは一概に「やめとけ」というわけではなく、自分の特性に合っているかをしっかりと見極めることが大切です。この記事を参考に、自分に合った企業選びやキャリアプランを検討してみてください。
※本記事は2025年4月時点の情報を基に執筆しております