「SIerはやめとけ」といわれる7つの理由
SIerについて調べていると、「やめとけ」といったネガティブなワードを目にする機会があります。
なぜSIerはやめとけといわれるのか、7つの理由について具体的に解説していきます。
理由1:ITに関する知識やシステムの特性など、覚えることが多いため
SIerは、クライアントの業務を最適化するために、ITを活用した改善策を提案・実装する役割を担っています。
特に一次請けのSIerは、システム開発だけでなく、クライアントの業務課題をもとに要件定義や設計~運用、改善提案まで担うため、ITだけでなく顧客業務への理解や、プロジェクトのマネジメント力も求められます。
また、仕事を円滑に進めるためには、開発スキルや最新技術の習得に加えて、業務効率化手法やシステム特性を覚える必要があります。
理由2:プロジェクトが変わるたびに業界理解が必要になるため
SIerの案件は製造業・物流・小売りなど業界問わず多岐にわたるため、業界が異なると用語の使い方も異なる点に注意が必要です。
例えば「在庫」という一般的なワードでも、製造業と小売業では異なるニュアンスで受け取られることもあります。また、クライアントと誤解なくやり取りを行うためには、クライアントの仕事のやり方や社内のみで使われている用語についても把握しておく必要があります。
理由3:専門性を高めにくいケースもあるため
SIerはアサインされたプロジェクトで働くため、どのプロジェクトにアサインされるかはタイミングによることも多く、必ずしも希望が叶うわけではありません。
例えば、クラウド技術に興味を持っていても、プロジェクトによってはオンプレミス環境の開発が続くこともあります。その結果、特定分野の技術力を高める機会が少なくなってしまい、専門性を磨きにくいと感じる人もいるのです。
また、SIerの仕事は、既存の技術やフレームワークを組み合わせてシステムを構築することが中心です。そのため、技術力を高めたいエンジニアにとっては業務に物足りなさを感じる可能性があります。
理由4:客先常駐が多いため
客先常駐という働き方は一概に悪いとはいえませんが、キャリア形成において不利に働くことがあります。
プロジェクトが終われば別のクライアント先に移ることになるため、職場環境や働き方が頻繁に変わることへのストレスもあります。客先によっては下請けとして扱われ、意見が通りにくいこともあるでしょう。これはモチベーションを低下させる原因となります。
理由5:スケジュールがタイトなケースが多いため
バッファーの少ないタイトなスケジュールが組まれることも多く、スケジュールの遅れなどが発生した場合は、残業によってカバーするケースも少なくありません。
SIerはクライアントの要望に基づいてシステムを開発・導入するのが主な役割です。システム開発は多くの工程(要件定義、設計、開発、テスト、運用など)があり、それぞれに十分な時間が必要です。
一方、多くのプロジェクトではコスト削減や市場の変化に早急に対応したいという思いから「できる限り短い期間での導入」が求められる傾向にあります。
理由6:ウォーターフォール型開発の場合、終盤にしわ寄せがきやすいため
SIerのプロジェクトはウォーターフォール型の開発が主流です。ウォーターフォール型の開発手法では、プロジェクトの後半(開発・テスト)に問題が集中しやすく、エンジニアへの負担が大きくなる傾向にあります。
例えば、大規模な業務システムを開発するプロジェクトでは、クライアントが想定していなかった機能が後になって必要と判明するといったケースもあります。
すでに設計や開発が進んでいる状況で大きな変更を加えることは困難です。スケジュールを変更できない場合、開発やテストフェーズなどで無理な修正や追加開発が発生することになります。
そのほか、スケジュールの管理不足や、開発に伴う各種課題の発生などもプロジェクト終盤を忙しくさせる原因です。
理由7:プライム案件でないと担当業務が限定的になる場合が多いため
プライム案件でない場合、上流工程に関わる機会が減り、単調な業務や担当範囲が限られる傾向にあることも、SIerがやめとけといわれる理由です。
SIerと一口にいっても、クライアントから直接仕事を受注するプライムベンダー(1次請け)と、プライムベンダーから仕事を依頼される2次請け、2次請けからさらに仕事を依頼される3次請けに分かれています。
プライムベンダーであれば、システムの上流工程や全体のプロジェクトマネジメントなどがメインで、裁量が大きい業務に携われます。
一方、2次請け・3次請けの立場では、詳細設計や実装、単体テスト、進捗報告、課題の管理といったタスクが主な仕事です。そのため、下請けのエンジニアは「判断権限が少ない」「言われたことだけをこなす仕事が多い」と感じることがあり、やりがいが薄れる要因となります。
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やめておくべき?SIerに向いている人の特徴
やめとけといわれることもあるSIerですが、人気の高い職種でもあります。
本章では、SIerに向いている人の3つの特徴について解説していきます。
プロジェクトを自分で動かしたい
SIerでは受け身の姿勢ではなく、自ら率先してプロジェクトを動かす力が求められます。
SIerにとって、プロジェクトのゴールは「スケジュール通りにシステムを構築すること」です。いつまでに何を完了するべきかを逆算して、計画を立て、タスクを実現させていかなくてはなりません。そのためには、プロジェクトの全体を把握し、関係者と連携しながら前に進める力が重要です。
マネジメント業務に興味がある
プログラミングを担当するよりも、プロジェクトのマネジメントに興味がある方もSIerに向いているといえます。
特にプライムで仕事を請け負っているSIerでは、プロジェクト全体の進行管理や、関係者との調整・交渉が大きな役割の1つです。クライアントや開発チームとのコミュニケーション、スケジュールや予算の管理など、マネジメントスキルが必要とされる場面が多いのが特徴です。
プロジェクトが大規模になるほど、進行全体を俯瞰して管理する力が求められます。開発スキルだけでなく、リーダーシップや対人調整、顧客折衝力を発揮したい人に適した環境だといえるでしょう。
物事を論理的に考えるのが好き
SIerの業務では、クライアントの要望を分析し、実現可能なシステム設計を考えます。例えば、クライアントが「業務を効率化したい」と要望した場合、まず現状の業務フローを分析し、どの部分を改善すべきかを論理的に組み立てる必要があります。
システム設計では、パフォーマンス・コスト・ユーザビリティ(使いやすさ)などを考慮した上で、どの技術を選択すべきかを判断することが求められます。
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SIerのやりがいやメリット
SIerは大変なことばかりではありません。仕事の成果をダイレクトに感じられたり、幅広いスキルが身についたりと、SIerだからこそ得られるやりがいも多数あります。
ここでは、SIerのメリットについて具体的に紹介していきます。
仕事の成果をダイレクトに感じられる
SIerはクライアントと直接やり取りする機会も多く、仕事の成果をダイレクトに感じられます。
自分が作りこんだ提案に対し、「それ、すごい便利そうですね!ぜひお願いします!」といった反応が得られることも少なくありません。これは大きなやりがいにつながります。
また、プロジェクトが成功すれば、クライアントから別の案件で相談を受けることもあります。これは、導入したシステムに満足している証拠でもあり、SIerとして達成感を得られる瞬間の1つです。
「人と関わりながら価値を提供したい」と考えているエンジニアにとっては、魅力的といえます。
キャリアの選択肢がひろがりステップアップにつながる
SIerは、IT全般に関する知識のほか、システム導入による作業効率化やスケジュール管理、クライアントへのプレゼン・交渉などの知識と経験が身につきます。また転職市場で評価につながりやすいマネジメントスキルも身につくでしょう。
そのため、SIer経験者はITコンサルタント・プロジェクトマネージャーなどの職種に転職しやすくなります。IT企業への転職だけでなく、事業会社のIT部門やスタートアップ企業など、幅広い分野で即戦力として評価されやすいこともポイントです。
SIerで得たスキルは汎用性が高く、転職市場での評価も高いため、キャリアの選択肢が広がります。転職を経てステップアップしたいと考えているエンジニアにとっては、魅力的な職種のひとつです。
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まとめ
SIerは一般的なエンジニアと比較して覚えるべきことが多いなど、大変な部分もあります。一方で、「自分の仕事の成果をダイレクトに感じられる」ことや「システム全体の開発に関われる」ことなど魅力も多くあります。また、SIerを経験すると、キャリアの選択肢が広がるといったメリットもあります。
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