- ITエンジニアが転職を考え始めるのは3年以内が約44%
- 【経験年数別】ITエンジニアの転職タイミング
- 【経験年数別】ITエンジニアの転職メリット
- 【経験年数別】ITエンジニアの転職リスク
- 【経験年数別】エンジニアの転職を成功させるためのポイント
- まとめ
ITエンジニアが転職を考え始めるのは3年以内が約44%
レバテックキャリアによるエンジニア転職意識調査によると、入社から3年以内に転職を考え始めるエンジニアが全体の約44%を占めていることが分かりました。内訳は以下のとおりです。
転職を経験したエンジニアのうち、入社後に転職を考え始めた時期として最も多かったのは、「入社から6年後以降」が41.5%でした。ついで、「入社から3年後」が20.0%、「入社から5年後」が11.3%という結果になりました。
続いて、同調査における、在籍期間で適切だと思う期間についての調査結果は以下のとおりです。
内訳を確認すると、「いつでも良い」という回答が39.7%と最も多く、次いで「入社から3年程度」が21.3%、「入社から5年程度」が20.0%という結果でした。
この結果から、多くのエンジニアが転職に対してポジティブな印象を持っていることが読み取れます。特に、「いつでも良い」という回答が3分の1以上を占めていることから、転職はキャリアチェンジの手段として受け入れられているといえるでしょう。
このように、定期的に自身のキャリアを見直し、必要に応じて転職を検討することが一般的になってきています。
【経験年数別】ITエンジニアの転職タイミング
転職に適したタイミングについて、以下の経験年数別に説明します。
それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。
経験1~2年目のITエンジニアの転職タイミング
経験1~2年目のITエンジニアの転職は、実務経験が2年に近づき、スキルや実績をアピールできるようになったタイミングがおすすめです。
経験1~2年目での転職は慎重に検討する必要があります。この時期は基本的なスキルを習得している途中であり、転職よりも現在の環境で経験を積むことを優先すべき段階だからです。
基本的な開発手法やビジネスマナー、チーム開発の進め方など、社会人・エンジニアとしての基礎を身につける重要な時期となります。たとえば、バージョン管理システムの使い方、コードレビューの方法、テスト手法などの基本的なスキルを習得することが必要です。
ただし、以下のような状況では、最適なタイミングを待たずに転職を検討する価値があります。
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・慢性的な長時間残業など、労働環境が悪い場合
・技術的な成長が見込めない場合
・転居/介護などやむを得ない事情がある場合
このような長期的な就労が難しい場合を除いては、経験1~2年目のITエンジニアは、スキルの基礎が固まり実務経験を積めたタイミングが転職に適しているといえます。
経験3年目のITエンジニアの転職タイミング
3年目のエンジニアの転職は、スキルや実績が十分に蓄積され、キャリアアップの選択肢が広がるタイミングがおすすめです。3年の実務経験があればスキルやキャリアの方向性を明確にしやすく、転職市場での価値が高まりやすいため、より良い条件での転職が期待できます。
具体的には、「より専門性を高めたい」「給与や待遇を改善したい」「現職の成長機会が限られている」と感じたときが、転職に適したタイミングです。たとえば、以下のようなケースの場合は、転職を検討することをおすすめします。
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・業務がルーチン化し新しいスキルを習得しづらい
・会社の評価制度に不満があり、実績を積んでも給与や待遇が変わらない
・新しい技術や分野に挑戦したいが、現職では機会がない
3年目の転職は、スキルと経験を活かしてキャリアアップできる良いタイミングです。今後の成長や待遇を考え環境を変えるなら、この時期が適しています。
経験4年目以降のITエンジニアの転職タイミング
4年目以降のエンジニアの転職は、キャリアの方向性が具体的になったタイミングが適しています。経験4年目以降は、自身のキャリアプランや市場価値に応じて柔軟に転職を検討できる時期です。この段階では、専門性や経験値が十分に蓄積されているためです。
たとえば、「専門性を高めたい」「マネジメントに挑戦したい」「待遇を改善したい」などの希望が、現職では実現できそうにない場合は転職を検討することをおすすめします。具体的には、以下のような例が挙げられます。
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・得意分野での業務に取り掛かれているが、新しい学びがなく成長の頭打ちを感じる
・マネジメント職に挑戦したいが、下請けの業務ばかりで担当できる見込みがない
・他社の同じポジションと比較して、給与が明らかに低い
4年目以降の転職は、スキルや経験を武器に自分の希望を叶えるチャンスです。自分にとっての理想のキャリアや待遇が明確になったタイミングでの転職がおすすめです。
【経験年数別】ITエンジニアの転職メリット
ITエンジニアの転職には、経験年数によって異なるメリットが存在します。転職活動を効率的に進めるためにも、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。
それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。
1~3年目のITエンジニアが転職するメリット
1~3年目のエンジニアには、第二新卒やポテンシャル採用枠を活用できるというメリットがあります。この採用枠では、現時点でのスキルよりも、成長意欲や可能性を重視して評価されるため、挑戦的な転職が可能です。
たとえば、異なる開発言語や技術スタックへのキャリアチェンジ、新しい業界への転職などにチャレンジしやすいです。第二新卒やポテンシャル採用枠では、若手エンジニアの育成に力を入れている企業も多く、充実した研修制度や教育環境が用意されています。
このように、1~3年目のエンジニアは、第二新卒やポテンシャル採用枠を利用して、未経験分野やより良い成長環境への転職がしやすいのが大きなメリットです。
関連記事:
ポテンシャル採用とは?メリット・デメリットや対策ポイントを紹介
【20代・第二新卒向け】レバテックキャリアで転職する方法、メリット
4年目以上のITエンジニアが転職するメリット
4年目以上のエンジニアは、実務経験とスキルを武器に、より良い条件で転職できる可能性があります。具体的な実績や技術力を採用選考でアピールできるため、即戦力として高い評価を得やすいのがメリットです。
また、給与や待遇の改善も期待できます。IT業界では、転職すると給料が上がる「年収バグ」という現象が存在します。現職での評価が伸び悩んでいる場合でも、転職によって適切な評価を受けられる可能性があります。
このように、4年目以上のエンジニアは、即戦力としての価値を活かし、転職によりキャリアアップや年収アップを狙えることがメリットです。
【経験年数別】ITエンジニアの転職リスク
ITエンジニアの転職には、経験年数によってさまざまなリスクが存在します。転職を成功させるためには、これらのリスクを理解し、適切に対策を講じることが重要です。
・1~3年目のエンジニアの転職にともなうリスク
・4年目以上のエンジニアの転職にともなうリスク
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
1~3年目のエンジニアの転職にともなうリスク
1~3年目のエンジニアの転職には、企業側からの信頼を得にくい場合があります。短期間での転職は、定着率の低さを懸念される可能性があるためです。
具体的には、以下のような印象を持たれる可能性があります。
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・困難な状況での粘り強さが不足している
・チーム開発での協調性に課題がある
・コミュニケーション能力や対人関係の面で問題があるのではないか
このように、1~3年目のエンジニアの転職では、企業側からの評価や信頼性の面で不利になる可能性があることに留意が必要です。
4年目以上のエンジニアの転職にともなうリスク
4年目以上のエンジニアが転職する場合、即戦力としての期待が高まるため、企業が求めるスキルレベルとのミスマッチが生じるリスクがあります。経験年数を重ねるほど、企業側は専門性の高いスキルや経験を重視する傾向があるためです。
期待値とのギャップが生じた場合、キャリアアップが遠のく恐れがあります。また、即戦力としての活躍を求められるため、異なる分野へのキャリアチェンジが困難になることもあります。経験を積んだ分野から離れると、未経験者として扱われることも少なくありません。
このように、経験年数が増えるほど、企業側から期待されるレベルが高くなることが4年目以降の転職に伴うリスクといえます。
【経験年数別】エンジニアの転職を成功させるためのポイント
エンジニアの転職を成功させるためには、経験年数に応じた適切なアピールポイントをおさえることが重要です。ここでは、転職成功のためのポイントを経験年数別に紹介します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
【共通】転職理由をポジティブに言語化する
転職理由の言語化は、面接での印象を左右する重要なポイントです。ネガティブな表現は避け、前向きな意欲が伝わるようにすることが大切です。前職に関する不平や不満を述べると、採用側にマイナスな印象を与えるリスクがあります。
効果的な転職理由の例は、以下のとおりです。
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・新しい技術にチャレンジできる環境で成長したい
・より規模の大きなプロジェクトで経験を積みたい
・自社プロダクト開発に携わり、サービスの成長に貢献したい
・専門性を活かせる環境で、技術力を高めていきたい
また、避けるべき転職理由の例として、以下が挙げられます。
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・今の会社の評価制度に不満がある
・残業が多くて辛い
・上司との相性が悪い
・給与が低過ぎる
熱意や挑戦心などが伝わるよう転職理由をポジティブに言語化することで、良い評価につながりやすいです。
また、エンジニアの転職理由について詳しく知りたい方は、「エンジニアの転職理由はなんて答えるべき?面接で使える例文とポイントを解説」をご覧ください。
【1~2年目】長期的に成長したいからこその転職とアピールする
1~2年目のエンジニアの転職では、長期的な成長意欲があることを示すことが重要です。若手エンジニアの採用において、企業側は早期退職のリスクを懸念します。将来を見据えたキャリアビジョンを持ち、企業とともに成長したいという意欲を伝えることが、効果的です。
特に、以下の点をアピールすることがおすすめです。
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・現在の技術スキルと今後伸ばしたい領域
・キャリアの方向性と目指すポジション
・なぜその企業で長期的に活躍したいのか
・これまでの経験から得た学びと今後の課題
・資格取得への挑戦
上記のポイントを具体的なエピソードを交えて伝えることで、志望企業での将来を見据えていることをアピールでき、採用に繋がりやすくなります。
【3年目】即戦力+成長の伸びしろをアピールする
3年目のエンジニアは、即戦力としての実績と、さらなる成長意欲の両方をアピールすることが効果的です。企業側は3年目のエンジニアに対して、即戦力として活躍できるエンジニアを求める一方で、長期的に企業に貢献してくれる伸びしろも重視しています。そのため、実績と成長意欲をしっかり示すことが重要です。
即戦力としてのアピールポイントの例は、以下のとおりです。
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・これまでの開発プロジェクトでの具体的な成果
・習得している技術スタックとその実践経験
・チーム開発でのリーダー経験
・トラブルシューティングの実績
また、成長意欲のアピールポイントの例として、以下が挙げられます。
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・キャッチアップしている最新技術
・個人開発での挑戦
・技術コミュニティでの活動実績
・目指している技術領域や資格、学習計画
実績をアピールする際は、具体的な数値を用いて説明することで、客観性と説得力を高められます。
3年目のエンジニアはこれらのポイントを効果的にアピールすることで、転職活動を有利に進め、成功に近づくことが可能です。
また、ITエンジニアの自己PR文については、「【職種別】ITエンジニアの自己PRの例文や書き方!未経験向けのポイント解説」を参考にしてください。
【4年目以上】マネジメントスキルや専門性をアピールする
4年目以上のエンジニアは、マネジメントスキルや高度な専門性をアピールすることが重要です。企業としては、4年目以上のエンジニアにいち早く戦力として活躍してもらい、組織全体の成長に貢献してくれることを望む傾向があるからです。
たとえば、マネジメントスキルのアピールポイントとしては、以下のような実績や能力を具体的に示すことをおすすめします。
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・プロジェクトマネジメントの実績(規模、期間)
・チームビルディングの経験
・若手エンジニアの育成実績
・ステークホルダーとの調整能力
また、専門性に関する具体的なアピールポイントの例としては、以下の項目が挙げられます。
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・特定のプログラミング言語や技術領域、アーキテクチャ設計の実務経験や理解
・特定の業界や分野(金融、医療、AIなど)に特化したシステム開発や運用経験
・パフォーマンス最適化やトラブルシューティングの実績
・高度情報処理技術者試験などの所有資格
このような項目をアピールすることで、即戦力としての技術力に加え、組織に貢献できる能力を所有していると企業側に伝わりやすくなり、転職成功につながりやすいです。
まとめ
この記事では、ITエンジニアの転職について詳しく解説しました。
レバテックキャリアの調査から、入社から3年以内に転職を考え始めるエンジニアが全体の約44%いることが分かりました。また、1社への在籍期間で適切だと思う期間については「いつでも良い」という回答が3分の1以上を占めています。これらの結果から、転職はキャリアアップの手段として受け入れられているという見解を示しました。
転職は、状況によって適したタイミングが存在します。1~2年目は、スキルや実績をアピールできるようになったタイミングでの転職がおすすめです。3年目はキャリアアップの選択肢が広がるタイミング、4年目以降はキャリアの方向性が具体的になったタイミングでの転職をおすすめします。
この記事を参考に、自分の状況に合った適切な転職のタイミングを検討してみてください。
※本記事は2025年4月時点の情報を基に執筆しております