ITコンサルタントがやめとけと言われる5つの理由
ITコンサルタントの仕事に就くことは、さまざまな理由からやめとけと言われています。主な理由は、以下の5つです。
ここからは、それぞれの具体的な理由を解説します。
残業が常態化しやすい
ITコンサルタントの業務は、クライアントの要望に応じて柔軟な対応が求められるため、残業が発生するケースが多いです。複数のプロジェクトを同時に抱えることも多く、それぞれの締切に追われることも珍しくありません。
特に、提案フェーズや納期直前には、残業が多くなります。また、クライアント先での打ち合わせが夕方に設定された場合、その後の資料作成や修正作業で帰宅時間が遅くなりがちです。このような働き方は、私生活との両立を難しくし、長期的なキャリア形成の障害となることがあります。
【コンサル経験者の後悔例】
残業が増えてしまったケースとして、次のような具体例があります。
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・定時のタイミングで明日の朝の会議で使う資料の作成を指示された
・絶対に失敗できないというプレッシャーから、アサインされた翌日に同僚が退職してしまい、その業務カバーのため自分の作業量が増えた
このように、ITコンサルタントの業務は、イレギュラー対応によって残業が多くなりやすい仕事です。そのため、ワークライフバランスを重視する方には、ITコンサルタントはやめとけと言われています。
プレッシャーが大きい
ITコンサルタントは、クライアントの経営に関わる仕事であるため、大きなプレッシャーがあります。具体的には、クライアントからの期待に応え、高品質な成果を提供する責任や予算内でのプロジェクト遂行、タイトな納期設定といったさまざまな面でプレッシャーにさらされます。
特に経営層への提案や大規模なシステム刷新プロジェクトでは、企業の将来を左右する重要な判断に関わることも多く、責任重大です。このように、ITコンサルタントは失敗は許されないという緊張感の中で常に成果を発揮し続けることが求められるため、やめとけと言われています。
資料作成やドキュメント作成スキルが重要
ITコンサルタントの仕事には、ITに関する知識だけでなく、提案資料やプロジェクトの計画書や要件定義書、報告書といったさまざまな文書の作成能力が必要です。具体的には、クライアントに対して複雑な技術的概念をわかりやすく説明し、提案内容の価値やプロジェクトの成果を正確に伝えるための資料作成力が求められます。
これらの資料は、クライアントの重要な判断材料です。資料の質が低いと、クライアントの信頼を失うだけでなく、プロジェクト全体に悪影響を及ぼす可能性があるため、資料の作成スキルは必須です。
クライアントと適切なコミュニケーションが必要
ITコンサルタントには、クライアントと適切なコミュニケーションを取る能力が必要です。ITコンサルタントの仕事では、要件のすり合わせや進捗報告、課題の共有など、日々の細かなコミュニケーションが発生します。
また、クライアント企業の文化や業界特有の慣習を理解し、それに合わせた対応も必要です。時には、クライアント側の担当者との意見の相違に直面することもあり、高度なコミュニケーション能力が求められます。
専門性が高く結果を求められる
ITコンサルタントには、最新のテクノロジーに関する深い知識が要求されます。具体的には、クラウドやAIといった次々と登場する新技術に対する理解はもちろん、それらをビジネスにどう活用できるかという知見も必要です。
この専門性は、単なる知識の蓄積だけでは不十分です。クライアントが抱える課題に対して、具体的な解決策を提示し、実際の成果として結実させることが求められます。たとえば、コスト削減や業務効率化、売上向上などの数値で測定可能な改善を実現する必要があります。
ITコンサルタントが向いている人の特徴
ここまでの内容から、それでも挑戦したいという方は、以下で紹介するITコンサルタントが向いている人の特徴が自身に当てはまるか確認してみてください。
それぞれ解説します。
ストレス耐性の高い人
ITコンサルタントの仕事は、ストレス耐性の高い人に向いています。ITコンサルタントは、前述のとおり、常に高いプレッシャーと緊張感の中で業務を行います。
特に大規模プロジェクトでは、数億円規模の予算と企業の将来を左右する重要な判断が伴うため、その精神的負担は大きいです。ITコンサルタントには、このような環境下でも冷静さを保ち、的確な判断を下せる精神力が必要です。
論理的思考力と問題解決能力がある人
ITコンサルタントは、論理的思考力と問題解決能力がある人に向いている仕事です。業務ではクライアントの抱える複雑な経営課題を論理的に分析し、効果的な解決策を導き出す能力が求められます。
また、膨大なデータや情報の中から本質的な課題を見出して解決するためには、最適な技術やソリューションを提案できる問題解決能力も重要です。
コミュニケーション能力が高く適応力のある人
コミュニケーション能力が高く適応力のある人も、ITコンサルタントに向いています。ITコンサルタントの仕事は、クライアント企業の経営層から現場の従業員まで、異なる視点や要望を持つ関係者との効果的なコミュニケーションが求められます。
たとえば、技術的な専門用語を使わずに複雑な概念を説明したり、異なる部門間の利害関係を調整したりする場面も多いです。また、クライアント企業ごとに異なる企業文化や商習慣に柔軟に適応し、信頼関係を構築できる対人スキルも重要です。
マルチタスク能力がある人
ITコンサルタントの業務では、複数のプロジェクトや業務を同時に進行させる必要があります。具体的には、提案資料の作成やクライアントとの打ち合わせ、チームメンバーのマネジメントです。
これらのタスクを限られた時間の中で優先順位を適切に判断し、各タスクに必要なリソースを適切に配分できる管理能力が重要です。また、予期せぬ事態が発生した際にも冷静に状況を判断し、既存のタスクとの優先順位を決めてから、併行して対応できる能力も必要となります。
ITコンサルタントの仕事の魅力・続けるメリット
ITコンサルタントの仕事に就くべきか迷っている方、あるいは続けるべきか悩んでいる方は、以下の魅力やメリットを把握しておきましょう。
一つずつ解説していくので、迷っている方はぜひ参考にしてください。
高年収を期待できる
ITコンサルタントは、IT業界の中でも特に高収入が期待できる職種の一つです。実際に、レバテックキャリアの求人情報に基づいて算出されたITコンサルタントの平均年収は532万円です。エンジニア全体の平均年収504万円と比較すると、 28万円もの差があることから、業界内でも特に高収入を目指せる職種だと言えます。
また、成果報酬型の報酬体系を採用している企業も多く、優れた成果を上げることで、成功報酬として基本給とは別に大きなボーナスが支給されることもあります。この収入の高さは、ITコンサルタントの魅力の一つです。
関連記事:ITコンサルタントの年収は?仕事内容や年収が高い理由を解説
ITコンサルタントの求人・転職情報>
上流工程に携われて市場価値を上げられる
ITコンサルタントは、上流工程に携われる仕事です。具体的には、クライアント企業の経営戦略の策定や業務改革の立案など、プロジェクトの方向性を決定づける重要な局面に関わることができます。
これらの経験は誰もができるものではないため、業界内で高く評価される貴重なスキルです。また、最新技術のトレンドやベストプラクティスに常に触れることができ、市場価値の高いスキルを継続的に習得できます。
この経験とナレッジの蓄積は、長期的なキャリア形成において大きなアドバンテージです。
キャリアパスの幅が広がる
ITコンサルタントとしての経験は、前述のとおり市場価値の向上につながり、将来のキャリアの可能性を大きく広げます。具体的には、以下のようなキャリアパスが選択できます。
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・社内のマネージャーへのキャリアアップ
・ほかのコンサルティング会社へ転職
・事業会社の情報システム部へ転職
・大手外資系企業へ転職
・フリーランスとして独立
これらのキャリアパスの詳細やキャリアアップするための方法は、以下の記事で解説しています。ITコンサルタントの将来性やキャリアパスが気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
関連記事:ITコンサルタントのキャリアパスは?年齢別の転職市場価値
大きな達成感・やりがいを感じやすい
ITコンサルタントは、クライアント企業の重要な経営課題を解決し、ビジネスの成長や変革を支援する役割を担います。そのため、大きな達成感・やりがいを感じられる仕事です。ITコンサルタント特有のやりがいは、以下のとおりです。
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・顧客と成功を分かち合える
・ゼロベースのアイデアが形になる
・業務知識が身につき、知見が広がる
・経営層、マネジメント層の考え方を学べる
具体的なITコンサルタントのやりがいは、以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:ITコンサルタントのやりがいとは?向いている人や仕事内容も解説
コミュニケーション能力が身につく
ITコンサルタントの業務を通じて、ビジネスパーソンとして最も重要なコミュニケーション能力を磨くことができます。ITコンサルタントは、経営層へのプレゼンテーションやクライアントとの折衝、チームメンバーとの協働といったさまざまなシーンでコミュニケーションスキルを実践的に学べます。
特に、技術的な内容をエンジニアではない人にわかりやすく説明する力や、異なる立場の人々の意見を調整する調整力は、どのような職種でも活かせる普遍的なスキルです。
また、クライアント企業ごとに異なるコミュニケーションスタイルに適応する経験を通じて、状況に応じた最適なコミュニケーション方法を身につけることができます。
資料作成スキルが身につく
ITコンサルタントの仕事では、提案書や報告書など、数多くの重要文書を作成する機会があります。これらの経験を通じて、わかりやすい資料作成スキルの習得が可能です。
具体的には、複雑な情報を整理してわかりやすく表現する力やデータを効果的に可視化する力、ロジカルに論旨を展開する力などが身につきます。
また、経営層向けの資料作成では、経営視点での訴求ポイントの整理や投資対効果の明確な提示などのスキルを学ぶことができます。
ITコンサルタントに関するよくある質問
最後に、ITコンサルタントに関するよくある質問を紹介します。
Q1. ITコンサルは将来性がありますか?
ITコンサルタントの将来性は、企業のIT化やDXの推進、IT人材の不足などの背景から非常に有望だと言えます。特にAIやクラウド、IoTなどの先端技術分野では、専門知識を持つコンサルタントの需要が高まっています。
ITコンサルタントの将来性については、以下の記事をぜひ参考にしてください。
関連記事:ITコンサルタントの将来性とは?仕事内容や年収も紹介
Q2. ITコンサルにプログラミングスキルは必要?
ITコンサルタントにプログラミングスキルは必須ではありませんが、技術力があると業務効率と市場価値が高まります。求められるプログラミングスキルのレベルは、専門分野や役割によって大きく異なるので、興味のある業界や企業について調べましょう。
また、ITコンサルタントに必要なスキルについては、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:ITコンサルタントにプログラミングスキルは必要?具体例から解説
まとめ
ITコンサルタントは、確かに「やめとけ」と言われるほどの困難や課題が存在する職種です。具体的には、長時間労働やプレッシャーを感じやすい環境、求められる専門性の高さなどです。しかし、その一方で高収入が期待できる、キャリアパスが幅広い、大きな達成感があるなどのメリットも数多く存在します。
重要なのは、自身の適性や目指すキャリアパスと照らし合わせて、慎重に判断することです。特に以下の点について、十分に検討することをおすすめします。
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・ストレス耐性や論理的思考力があるなど、自身の適性
・求められる専門性と自己研鑽への意欲
・ワークライフバランスに対する考え方
・長期的なキャリアビジョン
ITコンサルタントの仕事に挑戦したいと思っている人は、本記事で解説した内容を参考に、自身の適性やキャリアへの考え方をもとに検討してみてください。
※本記事は2025年4月時点の情報を基に執筆しております