- SEの平均年収は約557万円で日本の平均より高い
- システムエンジニアの給料が安いといわれる3つの理由
- 給料が安過ぎる…SEの収入を上げる方法
- SEの給料が安過ぎ・上がらないと悩んだときは転職も視野に
- まとめ
SEの平均年収は約557万円で日本の平均より高い
システムエンジニアの給与は低いといわれがちですが、実際の水準を見てみると決して低くはありません。
厚生労働省が運営する職業情報提供サイトjob tagによると、組込みやIoT、Web開発、受託開発担当のシステムエンジニアの平均年収は約557.6万円です。また、基盤システム担当のシステムエンジニアの平均年収は、約684.9万円となっています。
令和5年賃金構造基本統計調査の結果から算出した一般労働者の平均年収が約507万円であることを考えると、システムエンジニアの給料は安くはないといえます。
ではなぜ、システムエンジニアの給料は「安い」といわれているのでしょうか。以下の章で詳しく解説していきます。
システムエンジニアの給料が安いといわれる3つの理由
システムエンジニアの給料が安いといわれる主な理由は、以下の3つです。
それぞれの理由について詳しく解説するので、参考にしてください。
多重下請け構造による影響
エンジニアの給与が低いといわれる原因として、多重下請け構造による影響が挙げられます。
IT業界の開発プロジェクトでは、元請け企業から順に仕事が下請け企業へ発注される多重下請け構造が一般的です。この構造が、システムエンジニアの給料に影響を与えています。
たとえば、元請け企業から1次下請け、2次下請けと階層が下がるごとに中間マージンが発生します。そのため、実際の開発作業を担当する下層の企業では、エンジニアへの還元額が少なくなりがちです。
さらに、下層の企業では下流工程(プログラミングやテストなど)を担当することが多く、上流工程でのトラブルや仕様変更の影響を受けやすいです。その結果、長時間労働を強いられるケースも少なくありません。
このように、多重下請け構造による影響で、長時間の労働の割には給与が少なくなりがちなことが、エンジニアの給与が少ないといわれる原因の1つです。
関連記事:SESの給料・年収が上がらない理由は5つ!昇給する方法なども紹介
裁量労働制やみなし残業
裁量労働制やみなし残業により、時間単位で考えると実質的に給料が安くなることがあります。
システムエンジニアの業務には、厚生労働省令および厚生労働大臣告示により、専門業務型裁量労働制の対象となるものがあります。たとえば、顧客のニーズ把握や基本設計などの上流工程、システム稼働後の評価や改善といった専門性の高い業務が裁量労働制の対象です。一方で、プログラムの設計や作成は対象外とされています。
裁量労働制やみなし残業が適用されている場合、実際の労働時間が想定以上に長くなった際には、時間単位で考えると実質的な時給が低くなることが少なくありません。そのため、裁量労働制やみなし残業が導入されている企業では、労働時間の長さや責任の重さに対して十分な給与が得られていないと感じることがあります。
スキルや経験の不足
スキルや経験の不足もシステムエンジニアの給料が低くなる要因の1つです。
SES(システムエンジニアリングサービス)では、「人月単価」という1人月あたりの要員単価が設定されており、これが給与に直接影響します。
たとえば、以下のようなスキルや経験が不足している場合、単価の高い案件にアサインされにくい場合があります。
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・プロジェクトマネジメントの経験
・特定の言語やフレームワークの専門知識
・業界知識や業務知識
このため、スキルアップや経験が不十分なことは、給料が安くなってしまう原因の1つです。
給料が安過ぎる…SEの収入を上げる方法
システムエンジニアの収入アップには、年代に応じて知識やスキルの向上が必要です。
それぞれの年代で目指すべき方向性と具体的な行動について、詳しく解説していきます。
20代:基礎的な技術力の向上
20代のシステムエンジニアが収入を上げるためには、基礎的な技術力の向上が重要です。技術力を向上させることで昇給のチャンスが広がります。なぜなら、高い技術力を持つエンジニアは、より高度なプロジェクトや重要な役割を任されるようになり、企業への貢献度が高まるからです。また、資格を取得できれば資格手当が支給される可能性があり、さらなる収入の増加につながることもあります。
基礎的な技術力を向上させるための具体的な取り組みは、以下のとおりです。
取り組み | 具体的なアプローチ |
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資格取得 | 基本情報技術者試験や応用情報技術者試験を取得する |
実務経験の蓄積 | ・プログラミングやテストなどの下流工程で着実にスキルアップする ・要件定義や設計などの上流工程へ段階的に関与する |
資格取得に向けた支援制度が設けられている企業もあるため、事前に確認してみると良いです。また、上流工程の経験を積むには、まずは要件定義書や設計書のレビューに参加させてもらい、できることを少しずつ増やしていけるよう上司に打診することをおすすめします。
20代のシステムエンジニアは、まずは基礎的な技術力を向上させて収入アップを目指しましょう。
30代:専門性の向上とマネジメントスキルの習得
30代のシステムエンジニアが収入アップを目指すには、専門性の向上とマネジメントスキルの習得が重要です。
IT業界では専門性の高い技術を取得すると市場価値が高くなるため、給与アップが期待できます。また、マネジメントスキルを持つエンジニアは、リーダーやマネージャー職に昇格しやすく、結果として給与水準も上がりやすいです。
具体的な取り組みとして、以下のようなアプローチが効果的です。
取り組み | 具体的なアプローチ |
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資格取得 | ネットワークスペシャリスト試験や データベーススペシャリスト試験、 プロジェクトマネージャ試験などを取得する |
マネジメント経験の蓄積 | ・タスク管理やチームレビューを実施する ・チームの目標を明確にし、KPIを設定する |
ネットワークスペシャリスト試験などの高度情報処理技術者試験は、IPAが主催する情報処理技術者試験の中でも難易度が高いです。これらの資格の学習を通して、専門性の高い技術を体系的に身につけられます。また、マネジメント経験については、まずは小規模プロジェクトから担当し、段階的にスキルを習得すると良いです。
30代のエンジニアは、上記のようなアプローチで技術力とマネジメントスキルを戦略的に伸ばすことで、昇給につながりやすくなります。
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40代:マネジメント力の向上と経営視点の獲得
40代のシステムエンジニアは、より上位のポジションへのキャリアシフトが重要になります。そのため、この年代での収入アップのためには、企業や組織全体の成果を意識したマネジメント力の向上と経営視点の獲得が必要です。
以下のような取り組みを意識的に行うことで、収入アップの可能性が広がります。
取り組み | 具体的なアプローチ |
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マネジメント力の強化 | ・1on1ミーティングで知識共有や課題解決のサポートをし、 技術力を強化する ・ポジティブなフィードバックだけでなく、 建設的な意見の伝え方を意識する |
経営の基礎についての学習 | ・事業戦略の基礎(競争戦略やブルーオーシャン戦略) などを学ぶ ・経営層の意思決定の流れを知る |
経営層の意思決定の流れを理解するには、経営層と積極的に対話したり、役員会議の議事録を読んだりして、社内の経営会議に参加できる場を少しずつ増やしていくことが重要です。
40代のシステムエンジニアは、チームを率いる経験を積み、企業の成長に貢献する意識を持つことでより高い評価を得られ、給与アップの可能性が高まります。
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SEの給料が安過ぎ・上がらないと悩んだときは転職も視野に
システムエンジニアが「給料が上がらない」と悩みを感じたとき、転職は有効な選択肢の1つです。特に、「年収バグ」と呼ばれる転職時の年収アップは、多くのエンジニアが活用している方法です。
年収バグとは、転職によって年収が上がる現象を指します。同じ会社で働き続けると年功序列の影響で昇給幅が小さくなりがちですが、転職では市場価値に応じた年収を得られる可能性が高くなります。
現在給与が上がらず悩んでいる方は、一度転職エージェントに相談してみるのがおすすめです。IT特化型の転職エージェントであるレバテックキャリアでは、エンジニアの市場価値を正確に把握し、適切な年収水準の案件を紹介しています。たとえば、以下のようなエンジニアの方におすすめです。
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・市場価値を知りたい方
・より高い年収の案件に興味がある方
転職や市場動向に関する些細な質問だけでも構わないので、まずは気軽に相談してください。
まとめ
システムエンジニアの給料は、一般的な給与水準と比べると決して低くはありません。ただし、多重下請け構造や裁量労働制、スキル不足などの要因により、期待するほどの収入が得られないケースが存在します。
収入アップのためには、年代に応じた戦略的なスキル習得やキャリア形成が重要です。20代では基礎的な技術力の向上、30代では専門性とマネジメントスキルの習得、40代では経営視点の獲得に焦点を当てることで、年収アップが期待できます。
また、現在の給与に不満を感じる場合は、転職を視野に入れることも有効な選択肢です。IT業界では技術力と経験を適切に評価してくれる企業も多く、キャリアアップのチャンスは豊富にあります。戦略的なキャリア形成と市場価値の向上に取り組むことで、理想の収入を実現できる可能性が広がります。
※本記事は2025年3月時点の情報を基に執筆しております