30代SEがキャリアパスを検討することの重要性
30代SEにとって、キャリアパスを検討することは重要です。なぜなら、30代は「キャリアの節目」と言われ、日々の業務をこなすだけでなく、今後どのようなキャリアを築きたいか、そのために何が求められるかを見据える必要があるからです。
また、SEのキャリアパスは多岐に渡り、マネジメント、スペシャリスト、フリーランスなど、さまざまな選択肢があります。自分の理想のキャリアを明確にし実現していくためには、何をしたいのか、どうなりたいのかをしっかりと検討していかなければなりません。
30代からのSEのキャリアパス
30代からのSEのキャリアパスを考えるにあたって、まず方向性を検討することが有効です。IT業界は職種が多く、選択肢が幅広いです。大まかな方向性を決めてから、何になりたいか、具体的に何をすべきかなどを掘り下げることで、具体的なキャリアプランを検討しやすくなります。
30代からのSEのキャリアパスは主に以下のとおりです。
キャリアパス | 向いている人 |
---|---|
マネジメント ポジションを目指す |
・リーダーシップを発揮したい人 ・予定、予算管理が得意な人 |
スペシャリストを目指す | ・特定の技術分野を極めたい人 ・深い専門知識を習得したい |
ゼネラリストを目指す | ・幅広い知識とスキルを身につけたい人 ・さまざまな業務に携わりたい |
他職種に挑戦する | ・新しいことに挑戦したい人 ・異なる分野の知識を習得したい |
フリーランスを目指す | ・自由な働き方をしたい人 ・自分の裁量で仕事を進めたい人 |
それぞれのキャリアパスに向いている人や具体的な職種について、以下で詳しく解説します。
関連記事:SE(システムエンジニア)のキャリアプランとは?キャリアパスを詳しく解説
マネジメントポジションを目指す
SEからのキャリアパスとして、マネジメントポジションを目指す選択肢があります。
具体的な職種として、プロジェクトマネージャーが挙げられます。プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの計画、実行、進捗管理、品質管理、リスク管理など、プロジェクト全体を統括する職種です。
リーダーシップを発揮したい人や、予定・予算管理が得意な人に向いています。一方で、プロジェクトを管理する役割になるため、プログラミングやテスト、デバッグ作業を続けたい人はよく検討する必要があります。
プロジェクトマネージャーへの転職について詳しく知りたい方は「プロジェクトマネージャーの平均年齢は?何歳まで目指せる?」「SEからプロジェクトマネージャーになるには?年収や業務内容を比較」をご覧ください。
スペシャリストを目指す
SEからスペシャリストを目指すキャリアパスもあります。ITスペシャリストとは、ITスキル標準の特定の分野でレベル3以上のスキルを持つ技術者のことです。具体的には、以下の分野が挙げられます。
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・プラットフォーム
・ネットワーク
・データベース
・アプリケーション共通基盤
・システム管理
・セキュリティ
特定の技術分野を極めたい人や、深い専門知識を習得したい人、高い技術力を身につけて課題を解決したい人に向いています。
関連記事:ITスペシャリストとは?仕事内容や資格、効果的な学習方法も紹介
ゼネラリストを目指す
SEからゼネラリストを目指す選択肢もあります。ゼネラリストとは、幅広い知識とスキルを持ち、さまざまな業務に対応できる人のことです。
職種例として、ITコンサルタントが挙げられます。ITコンサルタントはさまざまな企業の事業内容を理解した上で、問題を分析し、適切な提案を行う職種です。企業や案件によって、上流工程のみを担当することもあれば、幅広い工程を担当することもあります。そのため、幅広い知識とスキルを身につけたい人や、さまざまな業務に携わりたい人におすすめです。
ただし、上流工程しか担当しないITコンサルタントでは、マネジメント職同様、開発業務を担当しなくなる場合もあるので注意が必要です。
関連記事:ITコンサルタントになるには?役立つ資格や向いている人の特徴
他職種に挑戦する
SEのキャリアパスとして、他職種に挑戦する選択肢もあります。
たとえば、IT業界の他職種へ転職することも可能です。具体的な職種としては、以下が挙げられます。
職種 | 概要 |
---|---|
AI/ 機械学習エンジニア |
人工知能(AI)や機械学習の技術を用いて、 データ分析やシステム開発を行うエンジニア |
セールスエンジニア | エンジニア視点から顧客へ製品の説明や 提案を行う営業寄りのエンジニア |
Webエンジニア | WebサイトやWebサービスの企画、設計、 制作、運用などを統括するエンジニア |
30代のSEがキャリアチェンジしたい場合、成長が予想される産業や技術を意識するのも大切です。需要の高いスキルを身につけることで市場価値の向上につながります。
未経験でほかのエンジニア職種に転職するのは難しいです。しかし、転職エージェントを活用することで、必要な対策やアドバイスをもらえます。レバテックキャリアは、ITエンジニアの転職に特化した転職エージェントです。専任のアドバイザーが一緒にキャリアプランを検討しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
また、異業種へ転職するという道もあります。SEの経験は異業種でも役立つ場面が多いです。新しいことに挑戦したい人や、異なる分野の知識を習得したい人は、IT関係以外の職種に挑戦することも選択肢の1つです。
関連記事:SE(システムエンジニア)におすすめの転職先を業界・職種別に解説
フリーランスを目指す
フリーランスのSEとして独立を目指すのも1つの選択肢です。フリーランスとは、企業や組織に所属せず、個人で仕事を受注する働き方のことです。
自由な働き方をしたい人や、自分の裁量で仕事を進めたい人に向いています。ただし、フリーランスで安定した収入を得るためには、スキルや経験が必要です。また、タスク管理や帳簿管理などの開発業務以外の調整も自分で行う必要があります。
キャリアパスに悩む30代SEのための転職事例
30代からのキャリアパスに悩んでいる方向けに、30代でエンジニア転職を成功させた方の事例を紹介します。
どういった経緯で転職に至ったのか、どのような転職を実現させたかったのかなど、自身の今後のキャリアパスを考える参考にしてみてください。
新技術に携わるために転職した30代SEの事例
新しい技術への導入に積極的な企業への転職を希望した30代SEの事例を紹介します。
当時、私は作業能率を上げたりスキルアップしたりするために、新しい技術をどんどん業務に取り入れていきたいと考えていたのですが、会社側は未完成の技術の導入に積極的ではなかったんです。それで、次第に会社と自分の価値観にズレを感じるようになりました。
(中略)
最終的に就職したのは、Webサイトから携帯ゲーム、スマートフォンアプリケーションの開発などを幅広く行うWebインテグレーション企業。「新しい技術を積極的に学ぶ姿勢を持つ、成長過程にある会社」という、今の自分にピッタリの企業に巡り合うことができました。
転職者インタビュー「新技術導入に積極的な現場で力を発揮したい。転職先に選んだのは、現在成長中のWebサービス企業」より一部抜粋
この事例では、新しい技術を学び続けたいという強い思いから、成長中のWebサービス企業に転職し、希望を叶えています。技術への熱意を重視する企業への転職は、スキルアップを目指すエンジニアにとって有効な選択肢と言えます。
より良い環境を求めて転職した30代エンジニアの事例
より良い環境を求めて転職した30代エンジニアの転職事例を紹介します。
今回の転職で4社目になります。2社目まではJavaを中心に静的言語で開発を行うWeb系の企業にいましたが、直近の3社目は同じWeb系でも、言語はRubyが中心でした。Rubyの習得自体は問題なかったのですが、それなりの規模の開発でRubyを使うことへの違和感が個人的にずっと拭えなくて、できればまた静的言語で開発がしたいと思い転職活動を始めました。
(中略)
今回の転職で叶えたい希望は2つありまして、1つは「静的言語、特にJavaで開発ができること」、2つ目は「扱っているサービスが魅力的で、社会的にもインパクトが大きい企業」です。この2つが叶えられる企業が見つかれば転職しよう、という比較的ゆったりしたスタンスでした。最終的にはこの2つが両方叶う企業に内定をいただけたので、転職活動をして良かったですね。
転職者インタビュー「30代半ばの4回目の転職。Web系からWeb系へ、より技術志向性にマッチする企業を求めて」より一部抜粋
この事例では、開発言語へのこだわりと、扱うサービスへの希望を軸に転職活動を行い、希望条件を満たす企業への転職を成功させています。自分の価値観や希望を明確にすることで、より満足度の高い転職につながります。
技術職を続けていくため転職した30代女性SEの事例
「ずっと開発に携わっていたい」と考え、転職した30代女性SEの転職事例を紹介します。
ガチガチのSIerだったので社内のキャリアパスが「開発→リーダー→マネージャー」というものしかなく、最終的には開発に関わらない、人の管理しかできない立場になってしまうのが嫌でした。
(中略)
前職では、勉強会やカンファレンスに参加したり、技術書を読む習慣がないメンバーが多かったので、その雰囲気に引っ張られてモチベーションが下がっていたというのもありました。そのため、一緒に働くメンバーや環境も転職で求める大事なポイントでした。
(中略)
技術に対する意識の高い人が多く、満足しています。部署単位での勉強会を開催したり、外部の勉強会への参加も活発です。
(中略)
これまでは敷かれたレールに沿ってやっていたのが、トレンダーズでは自分で決めて、自分でがんばらないといけない部分が多いので、やりがいを感じますね。手を上げたらチャレンジの場も与えてくれますし、この点はトレンダーズのすごくいいところだと思います。
転職者インタビュー「38歳・女性エンジニア。トレンダーズへ転職し、開発に専念できるキャリアパスを獲得」より一部抜粋
この事例では、開発職としてのキャリアと、成長できる環境を求めて転職活動を行い、技術志向の高い企業で開発に専念できるポジションを獲得しています。キャリアプランと企業文化のマッチングは、長期的なキャリア形成において重要な要素です。
SEが30代以降のキャリアパスを決めるためのポイント
キャリアパスを考える際、要点をおさえて検討しましょう。SEが30代以降のキャリアパスを考える際のポイントとしては、以下の3点が挙げられます。
以下で詳しく解説します。
理想のキャリアを明確にする
まずは、理想のキャリアを明確にすることが重要です。理想を明確にすることで、転職先への条件や自分の課題が見えてきます。
理想のキャリアを明確にするには、キャリアパスを検討している目的を振り返ることがおすすめです。たとえば、「収入アップしたい」「今よりもっと上流工程に携わりたい」など、キャリアを検討するきっかけとなった要因を考えます。そうすることで、キャリアにおいて自分が重要視している要素が分かり、理想とするキャリアを明確にできます。
自分のスキルや経験・強みを整理する
現在の自分を分析することも大切です。自分のスキルや経験、強みを整理しましょう。スキルや経験、強みを整理することで、自分の好きなこと、向いていることが把握でき、キャリアを検討するのに役立ちます。また、苦手なことを把握するのも重要です。
自己分析の際に整理すべき項目は以下のとおりです。
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・扱えるプログラミング言語やツール
・開発経験
・やりがいを感じた業務
・保有資格
これらを可視化することで、自分の強みや得意なことが再認識できます。詳しい自己分析のやり方については「エンジニアの転職で欠かせない自己分析のやり方とは」をご覧ください。
キャリア相談をする
プロのキャリアアドバイザーに相談するのもおすすめです。キャリア相談をすることで、自分自身のキャリアビジョンを整理することができます。
「目指したいキャリアパスはあるけど実現できるか不安」「自分のスキルと経験でどんなキャリアパスが目指せるのか知りたい」など、キャリアについての悩みや疑問を相談してみましょう。
レバテックキャリアは、職種別の専門アドバイザーが在籍しており、キャリアに関する不安や疑問を解消します。ご相談だけでも可能なので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
この記事では、30代SEのキャリアパスや転職事例、検討する際のポイントなどについて解説しました。
30代はキャリアの転換期であり、今後のキャリアプランをしっかりと考えることが重要です。SEのキャリアパスには、マネジメント職、スペシャリスト、ゼネラリスト、他職種、フリーランスなど幅広い選択肢があります。それぞれの特徴や適性を理解した上で、自分のスキルや経験、将来のビジョンに合った最適なキャリアパスを選択しましょう。
キャリアパスを検討する際は、理想のキャリアを明確にし、自己分析を行うことが大切です。また、自分の考えをまとめるのが難しい場合は、エージェントのキャリア相談サービスを活用するのもおすすめです。
30代以降のキャリアに悩んでいるSEは、ぜひ本記事の内容を参考に検討してみてください。
※本記事は2025年3月時点の情報を基に執筆しております