SEの上流工程とは?具体的な仕事内容や流れ・必要なスキルを紹介

最終更新日:2025年3月26日

「システム開発の上流工程ってどんな仕事?」「上流工程も担当したいけど、何から始めたらいいか分からない…」このような疑問や不安を抱えていませんか?

SEの上流工程とは、クライアントの要望をヒアリングし、システムの企画・設計を行う重要なフェーズです。

この記事を読めば、SEの上流工程の全体像を理解し、キャリアアップに向けた必要なスキルや資格を把握することができます。具体的な業務内容やトラブル事例と対応策も紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

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この記事のまとめ

  • SEの上流工程とは、企画、要件定義、基本設計、詳細設計の工程を指す
  • 上流工程では、顧客の要望をヒアリングし、システム開発の企画・設計を行う
  • 上流工程を担当するには、ヒアリング力、提案力、マネジメントスキルが必要

SE(システムエンジニア)の上流工程とは

SEの上流工程とは、システム開発における初期段階の工程を指します。クライアントの要望をヒアリングし、実現するためのシステムの企画・設計を行う重要なフェーズです。システム開発の主な流れとしては以下のとおりです。

システム開発は、一般的に上流から下流に工程が進んでいくウォーターフォール・モデルの開発手法が用いられます。その中でも、特に重要なのが要件定義です。クライアントのニーズを的確に捉え、システムに落とし込めるかがプロジェクトの成功を左右するため、重要な工程となります。

関連記事:システムエンジニアとは?仕事内容や年収を分かりやすく解説

上流工程の開発の流れ

上記の画像のように、上流工程は、企画→要件定義→基本設計→詳細設計という流れで進みます。

まず、クライアントの要望を丁寧にヒアリングし、システムの目的や目標を明確にする企画段階を経て、要件定義へと進みます。要件定義とは、クライアントのニーズを分析し、必要な機能や性能を具体的に定義する工程です。

その後、基本設計でシステム全体の構造を設計し、詳細設計で各機能の具体的な実装方法を決定します。

各工程での成果物は、次の工程の土台となるため、各工程を丁寧に進めることが重要です。

上流工程と下流工程の違い

上流工程は、何をどうするかを考える「思考のプロセス」である一方、下流工程はそれを基にした「作業のプロセス」です。具体的な違いについて表でまとめました。

  上流工程のSE 下流工程のSE
仕事内容 ・顧客からのヒアリング
・要望をまとめた企画立案
・システム開発の全体設計
・設計書に基づいたシステム構築
・テストの実施
必要なスキル ・ヒアリング力
・提案力
・マネジメントスキル
・プログラミングスキル
・コミュニケーション力

上流工程のSEは、システム全体の設計やクライアントとの折衝など、より高度なスキルが求められます。しかし、上流工程と下流工程に優劣があるわけではありません。適切にそれぞれの役割を理解し、連携することで、高品質なシステム開発が可能になります。

また、下流工程でも、設計の意図やニーズ、タスク管理などを意識して取り組むことで、上流工程に必要なスキルを身につけることが可能です。

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上流工程におけるSEの具体的な仕事内容

システム開発の上流工程におけるSEの具体的な業務としては、以下の4つが挙げられます。


ここでは、SEはそれぞれの工程でどのような業務を行うのかについて詳しく解説します。

関連記事:システムエンジニア(SE)の働き方や仕事で必要なスキルを紹介

企画

企画の工程では、クライアントにシステム開発の目的、現状の課題、実装したい機能などをヒアリングし、それに基づいてプロジェクト計画を立案します。具体的な仕事内容は以下のとおりです。

業務内容 概要
必要作業の洗い出し システム開発に必要な作業や工程を洗い出し、
作業内容を明確にする
予算・スケジュール・
リソースの設定
各作業に必要な予算、スケジュール、
人員などのリソースを設定する
リスクへの対策 開発の遅延や急な仕様変更などのプロジェクト中に
発生しうるリスクを予測し、対策を検討する
成果物の品質基準の設定 性能やセキュリティレベルなど、
システムの品質基準の設定を行う

これらを行うことで、企画の内容をまとめ、整理することができます。

要件定義

要件定義では、クライアントからヒアリングした意見を基に、システム要件をまとめます。具体的に要件定義書の作成があります。

要件定義書に記載する内容としては、以下のとおりです。

・システムの概要

・システムの導入目的

・システムの機能要件

・システムのセキュリティ要件

・システム導入後の運用環境

要件定義はシステム開発において最も重要な工程であり、要件定義の精度がシステムの品質を左右すると言っても過言ではありません。クライアントとの綿密なコミュニケーションを取りながら、要件を正確に定義することが重要です。

基本設計

基本設計では、要件定義書に基づいてシステム全体の構造と主要な機能を具体的に設計します。希望のシステムを構築するために、何をどのように作るか決めていく工程です。基本設計は、外部設計と内部設計の2つに分けられます。

【外部設計】
ユーザーの視点から見たシステムの仕様設計。画面レイアウト、操作方法、入出力データなどが含まれる。

【内部設計】
システム内部の構造や処理方法の設計。プログラムの構成、データベースの構造、データ処理の方法などが含まれる。

一般的に基本設計は、クライアントとの最後の確認の機会になる場合が多いです。この時点で今一度要望や不明点などを確認し、認識のずれをなくしておくことが重要です。

詳細設計

詳細設計では、基本設計で決めたシステム全体の構造や機能を、さらに詳細に仕様として決定し、設計書を作成します。作成する設計書としては、主に以下が挙げられます。

  • ・クラス図

    ・シーケンス図

    ・データベース設計書

    ・画面設計書

機能の実装方法やデータベースの構造、アルゴリズムなどを詳細に定義するのが重要です。そうすることで、開発工程での遅延やバグを減らせたり、システムの保守・改修が用意になったりします。

一般的に、ここまでが上流工程と呼ばれ、これ以降のプログラミング、テスト、運用・保守などの開発業務は下流工程となります。詳細設計書は、実際にシステム構築を行う際の基となる重要なドキュメントです。

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SEの上流工程の仕事で起こりうるトラブルや対応策

SEの上流工程の仕事では、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。主なトラブル例としては、以下の3つが挙げられます。
 


それぞれのトラブル例と対応策について、詳しく解説します。

トラブル例1:納期の遅れ

要件定義や設計に抜け漏れがあり、追加の作業が発生して納期に間に合わないということは、ありがちなトラブル例です。たとえば、クライアントの要望がシステム開発の終盤で変更になったり、開発途中で想定外のバグが発見されたりすると、納期遅延につながる可能性があります。

そのような事態が起こらないようにする対処法としては、主に以下の3つが挙げられます。

  • ・要件定義、設計段階での綿密な確認

    ・プロジェクト管理ツールの活用

    ・余裕を持ったスケジュールの設定

上流工程で綿密に計画することで、急な仕様変更や想定外の不具合などを抑えられるでしょう。また発生した場合でも、余裕を持ったスケジュールであれば、納期を遅らせずに対応できる可能性があります。

トラブル例2:開発コストの増加

初期段階での見積もりが不正確であると、予期せぬコストが発生し、採算が合わなくなることがあります。たとえば、システムの規模や複雑さを過小評価していたり、開発に必要なリソースを適切に見積もれていなかったりすると、開発コストが当初の見積もりを大幅に超過する場合があります。そのため、開発コストは慎重に設定することが重要です。

対策としては、以下の2つが挙げられます。

  • ・過去の類似プロジェクトのデータ確認

    ・見積もり内訳の明確化

過去にあった類似のプロジェクトデータを参考にすることで、かかるコストの目安が分かります。大幅に超過するといったトラブルは起きにくくなるでしょう。また、見積もりの内訳を明確にすることで、必要性や正確性をチェックでき、見積もりが適切であるか判断できます。

トラブル例3:リリース後の修正対応

リリース後に修正対応が必要になるケースもあります。たとえば、上流工程におけるリスク管理が徹底されておらず、リリース後に予期せぬ不具合が発生する場合などです。これは、開発に携わる下流工程の担当者に問題がある場合だけでなく、上流工程での認識齟齬が原因となる場合もあります。

これらの対応策として、下記が挙げられます。

  • ・リスクの洗い出し

    ・分かりやすい仕様書/設計書の作成

    ・テスト工程の充実

開発工程に入る前に、発生する可能性があるリスクを洗い出し、対策をしておくのが1つの手段です。また、分かりやすい仕様書・設計書にすることでクライアントや開発担当者との認識齟齬を防ぐことができます。

開発工程でできる対策として、テスト工程を充実させるという手段もあります。入念にテストすることで、リリースする前にバグを発見し、修正可能です。

関連記事:システムエンジニアはやめとけ?その理由と解決策について解説!

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SEが上流工程で働くために必要なスキル

SEが上流工程で働くには、さまざまなスキルが求められます。特に重要なスキルを以下の表にまとめました。

必要なスキル 概要
ヒアリング能力 クライアントの要望や課題を正確に聞き出す能力
提案力 ニーズに合った最適な解決策やシステムを提案する能力
マネジメントスキル プロジェクトを円滑に進めるために、
スケジュールやタスクを管理する能力

上流工程のSEは、クライアントと直接やり取りし、システム開発の方向性を決定づける役割を担います。そのため、クライアントのニーズを理解するためのヒアリング能力、最適なシステムを提案するための提案力、プロジェクトを成功に導くためのマネジメントスキルが必要です。

上流工程を任されるSEになるには、これらのスキルを身につけていくと良いでしょう。

関連記事:SEに必要な7つのスキル!関連職種からスキルアップの方法まで紹介

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上流工程で役立つ資格5選

ここでは、上流工程で役立つ資格を表で紹介します。

資格名 概要
応用情報技術者試験 ITに関する幅広い知識と応用力を問う国家資格。
上流工程に必要な基礎知識を網羅的に学習できる。
プロジェクトマネージャ試験 プロジェクトマネジメントに関する知識を問う国家資格。
プロジェクト計画、実行、管理、終結といった一連の
プロセスを理解しているか、推進できるスキルがあるかを評価する。
システムアーキテクト試験 システム全体の設計・構築に関する高度な知識とスキルを問う国家資格。
業務課題を正確に把握し、適切な提案・設計ができるかを評価する。
データベーススペシャリスト試験 データベースに関する専門知識とスキルを問う国家資格。
データベースの設計や開発、運用・保守などの高いスキルが求められる。
ORACLE MASTER Oracle Databaseの運用に関するスキルを認定するベンダー資格。
データベースの構築・運用・保守に関する実践的なスキルを証明できる。

これらの資格を取得し、深い知識を持つことで、上流工程でも活躍できるでしょう。資格取得は、自身のスキルアップを図るだけでなく、クライアントからの信頼獲得にもつながります

SEにおすすめの資格についてさらに詳しく知りたい方は「システムエンジニア(SE)におすすめの資格一覧!難易度やメリットも紹介」をご覧ください。

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まとめ

この記事では、SEの上流工程の流れや具体的な仕事内容などについて解説しました。上流工程とは、システム開発の初期段階であり、クライアントの要望をヒアリングし、システムの企画・設計を行う重要なフェーズです。具体的には、企画、要件定義、基本設計、詳細設計といった工程が含まれます。

上流工程のSEは、クライアントとのコミュニケーションを通して目的や課題を分析し、開発の方向性を思案していきます。そのため、ヒアリング能力、提案力、マネジメントスキルなどが必要です。

上流工程を担当するSEに興味がある方は、本記事を参考にしてみてください。

※本記事は2025年3月時点の情報を基に執筆しております

この記事の監修

レバテックキャリア編集部

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